【北欧と和の融合】ジャパンディが注目される理由と、“間”と“素材”でつくる温もりのある空間づくり
公開日: 2025年08月26日 (更新日: 2025年08月26日)
“スタイル”ではなく、“思想”としてのジャパンディ
静けさが満ちる空間。
そこには、意図的に「置かない」選択があり、選び抜かれた素材が語る余白があります。
いま、世界のインテリアにおいて「ジャパンディ(Japandi)」が注目される理由は、
トレンドとしてのスタイルではなく、暮らしそのものへの哲学的まなざしにあります。
日本が育んできた「間(ま)」の美学と、北欧が大切にしてきた「ヒュッゲ(心地よさ)」の思想。
その交差点に立ち現れるのが、ジャパンディスタイルです。
本記事では、greenicheの視点から、この思想を深掘りしながら、空間づくりの実践へと落とし込みます。
キーワードは「間」と「素材」──それは、“今をどう生きたいか”という問いと、静かに響き合います。
1. なぜ「今」ジャパンディなのか?:時代の価値観との共鳴
ノイズ過多の時代に求められる「視覚的静寂」
スマートフォン、広告、ニュース…
情報に囲まれた日常は、知らぬ間に私たちの感性を疲弊させています。
そんな時代だからこそ、「何も置かない空間」に、人は癒されます。
ジャパンディは、その静寂を家具や素材、配置の選び方によって空間に宿す手法です。
“モノ”より“意味”を選ぶ時代へ
単なる高級品ではなく、なぜそれを置くのか、どう関係を育むのか。
選ぶ基準は、「美しいか」だけでなく、「居心地を育てられるか」。
ジャパンディは、“暮らしを選ぶための美意識”を育てるスタイルでもあるのです。

2. 思想の構造:和と北欧、2つの価値観の融合
| 日本の美学 | 北欧の哲学 |
| 間の美、引き算のデザイン | 機能性とヒュッゲ |
| 素材と季節の調和 | 自然との共生 |
| 見えないものに美を見出す感性 | 暮らしに寄り添うデザイン思考 |
共通しているのは、“居場所は、使う人の心を映す器である”ということ。
ジャパンディは、その思想を伝えるインテリアスタイルだと思います。

3. “間”という構成要素:空間の呼吸を設計する
「置く」のではなく「間を設ける」家具配置
日本建築に学ぶ「間(ま)」とは、モノとモノの“関係性”を際立たせる空間の緊張と緩和です。
それは空間全体に、時間のリズムと呼吸を与える。
ジャパンディにおいて「家具の配置」は、「生活動線の設計」であると同時に、
視覚的・心理的余白の演出でもあります。
例:
・ウォールシェルフやフローティング収納で床面の面積を確保し、空間に“浮遊感”を
・家具を中央に集めない:空間の対話性を重視し、窓際や角をあえて“空ける”ことで静けさをデザイン

4. “素材”を活かす選び方:素材の“声”を聴く
ジャパンディの本質は、ただ「ナチュラル素材を使う」ことではありません。
素材がもつ物語を、どう空間に翻訳するか。
木材:静けさと経年変化を愛する
無垢材家具は、節や色ムラといった“個性”をあえて活かす設計。
それは、空間が人とともに“年を重ねること”を受け入れるという提案でもあります。
・オーク:静かで柔らかな印象。明るさを空間に与える
・ウォルナット:重厚さと静寂を空間に宿す“沈黙の主役”
・ソープ仕上げやオイル仕上げ:時をかけて育てる触感と光沢
ファブリック:季節と心をつなぐ素材
椅子1脚に纏う張地もまた、空間の“語り手”です。
・リネン:通気性と陰影を楽しむ「夏の余白」
・ウール:触感の安心感と視覚的な温もり

5. 空間演出のコツ:実践的ジャパンディスタイリング5選
| 視点 | 実践アイデア |
| 照明設計 | 光源の“高さ”と“間接性”を意識。LE KLINTのペンダントで柔らかな拡散光を |
| 家具の余白 | ダイニングは6人用を4人で使う。余白が“贅沢”に変わる |
| カラーパレット | 無彩色+アースカラー(グレージュ、ベージュ等)で沈静効果 |
| 花器とアート | 101 Copenhagenのオブジェや和陶器で陰影のある余白を演出 |
| 季節のしつらえ | 同じ空間でもファブリックや花材で“移ろい”を楽しむ |

6. まとめ|ジャパンディとは、居場所の哲学である
greenicheは、家具を「販売する」のではなく、「居場所を共につくる」ブランドです。
そしてジャパンディとは、まさにその居場所づくりに深く寄与する思想です。
- 「何を置くか」ではなく「なぜ置くか」
- 「見せるインテリア」ではなく「感じる空間」
- 「完成された空間」ではなく「育てていく暮らし」
“間”と“素材”は、空間づくりにおける“無言の言語”です。
それに耳を澄ませるとき、あなたの空間は、ただの部屋ではなく、人生を映す“Life Place”へと変わるのです。
