ボーエ・モーエンセンに学ぶ不変の仕事の流儀 | 世界中に70年以上愛されている家具を作り続けたデンマークのヒットメーカー

日本でも徐々に認知度が上がってきている家具デザイナーのボーエ・モーエンセン。彼の人柄や作品から読み取れる仕事の流儀を記します。インテリア系やデザイン系に従事していない方でも興味を持ってもらえると嬉しいです。

目次
1. ボーエ・モーエンセンってどんな人?
2. エピソードから分かる仕事への熱量
3. FDBモブラーとの関係から分かる責任感と使命感
4. あとがき



1. ボーエ・モーエンセンってどんな人?

Borge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)はデンマークの4代巨匠の1人です。
お酒を嗜むせいか、58歳の若さで生涯に幕を閉じました。(お酒にまつわる仕事エピソードは後ほどご紹介します。)

代表作には、「J39」や「SPANISH CHAIR」などがあり、直線的で質実剛健なデザインイメージが強いデザイナーです。
よくデザイナーが作ったモノが、作者に似た雰囲気になることがありますがモーエンセンが、その最たる例だと感じます。(モーエンセン自身も質実剛健で熱い男なのです。)
代表作のJ39

2. エピソードから分かる仕事の熱量

モーエンセンは仕事人間でJ39のように、真っすぐで素直な人間です。それ故に、一般の方から見たら奇行に映るようなエピソードが多々あります。

まずモーエンセンにとって自宅は実験場です。息子のピーターが帰ってきたら自室の家具がほとんどなかったり、家の模様替えも頻繁に行っていたようです。恐らくモーエンセンは、四六時中仕事のことを考えていたのではないでしょうか。
仕事とプライベートはしっかり区切って働くべきなのが、昨今の考えだとは思いますが私は、仕事≒趣味のような区切りがない生き方もすきです。
モーエンセンの場合は、仕事=仕事だったかもしれませんが、、、

次に上記でも軽く触れましたがモーエンセンは、お酒が大好きでした。
そんな折、モーエンセンはお酒で失態をおかし一度留置所まで行ったことがあるのです。留置所では、さすがに仕事はできないと考えるでしょう。ですがモーエンセンは留置所にあった椅子から着想を得て、新たにデザインを考えてしまったのです。ここまでくると理解が厳しいですが、、、

マイナスの状況からでも、プラスにどうしたら変えられるかを考えれるのは、どの職種の人でも求められることで一番試されるところだと思います。
問題が起きた時に、マイナスの穴埋めではなく更に補填していくのがモーエンセンの強さだと思います。(お酒に関しては、モーエンセンが蒔いた種ですが笑)

←留置所で考えたFredericia「model 2257」


3. FDBモブラーとの関係から分かる責任感と使命感

モーエンセンは、1942年から1950年の間、FDBモブラーのデザイン責任者を務めました。
FDBモブラーについて語るとなるととても長くなってしまうので詳しくは「FDBモブラーブランドページ」をご覧ください。

初代責任者モーエンセンに提示されたコンセプトは、「丈夫で、美しく、機能的、そして手軽な価格」といったものでした。
このようなコンセプトを上司から投げられたら、みなさんはどう思いますか?こんな無理難題はコンセプトではなく願望だと思ってしまう方が多いと思います。
かくいう私もデザインを学ぶ学生だった頃に、教授に自分のデザイン案やコンセプトを見てもらう機会が多かったのですが「かっこよくて、使いやすいものを作りたい」なんて言ってよく怒られたものです。

モーエンセンは、この要望を聞き入れデザイン責任者として活動を始めます。上記の通り、モーエンセンは誰よりも熱く更に責任感が強い男です。
彼は、FDBモブラーを通して、庶民の方にも気軽で良質な家具をデザインしていきます。その1つがJ39、別名「庶民の椅子」とも言われ75年以上経つ今でも親しまれているチェアです。
デザインや素材の使い方などを事細やかに考え直し、コーアクリントの教えを実践した結果が数々の庶民にも愛される家具を作れた要因かと思います。

そういった中で、少しずつコンセプトとズレがあると感じたモーエンセンは1950年にFDBモブラーを去ることになります。諸悦ありますが、半ば夜逃げのような状態だったとか、、、

ですが、1つの仕事に対して強い使命感があったのだと感じます。デンマーク人の生活を良くしたいというシンプルで大きな目標を持っていたモーエンセンの仕事に対する使命感は、現代の人にも見習う点が多いと思います。

自分の仕事に使命感を持って働くことは難しいと思います。ですが、自分にしかできないことや自分だけのセンスを見つけて働いている人は生き生きとしているように映ります。

4. あとがき

モーエンセンの仕事について特筆してみましたが、楽しんでいただけましたでしょうか?
現代の人でも、モーエンセンから学べる仕事への姿勢はあります。同じ仕事をこなすのでも、使命感があるだけで、見えてくる世界観が変わってくると思います。

最後に小話を1つだけご紹介します。
散々、モーエンセンの熱い仕事ぶりを説明しましたが、その弊害もありました。FDBモブラー4代目のJorgen Baerkmarkは仕事にストイックすぎるためかモーエンセンとは仕事をする機会がなくて良かったと語っていました。

モーエンセンのものづくりやストーリーがもっと気になる方はこちらのDVDをご覧ください。
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お仕事をする際に少しでも、参考になったら嬉しいです。

 

greeniche 代官山 福田

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