- アイテム紹介
日用品愛好家、greenicheと出会う。〈kilta Mirror編〉
はじめまして。日用品愛好家の渡辺平日といいます。今回、素敵な縁があって、
愛用しているgreenicheのプロダクトを紹介することとなりました。どうぞ、よろしくお願いします。
「好みのものを見つけたら、すぐにでも買うつもりだよ」
そう言いつつ、なかなか購入に踏み切れないアイテムがいくつかあります。例えば脚立。計算してみたら、買おうと思いはじめてから2年もの月日が流れました。「こだわりすぎるのも良し悪しだな……」と自分でも思います。
僕のなかではミラーもそういうポジションにあって、長いあいだ理想の逸品を探し続けてきました。玄関先に姿見鏡が取り付けられているし、手鏡も持っているから、そう困ることもありません。
それなのに、どこか漠然とした物足りなさを感じていました。それはちょうど、メンバーがひとり欠けた状態で行うバンド練習に似ているかもしれません。演奏できなくもないが、どこか寂しい感じというか。
そんなとき、〈kilta Mirror〉に出会いました。〈greeniche 代官山〉で偶然見つけたとき、「これだよ、これ」と僕は感じました。そして、「出会うまで待っていてよかった」と思いました。こだわり続けるのも、ときには悪くないものです。
この〈kilta Mirror〉はごくごくシンプルなプロダクトです。もちろん、それは〈お手軽〉という意味ではありません。この無駄のない形にたどり着くまでに、多くの試行錯誤があったことは想像に難くないでしょう。
僕がいちばん気に入っているのは、その丸みを帯びたフォルム。見ているだけですっと心が広がっていくような、そういう穏やかさが漂っています。
……大きい鏡の前に立つと、なんとなく緊張することってありませんか? 少なくとも僕はちょっと身構えてしまいます。でも、彼とは程よい距離感で接することができています。
木と木を繋げる金具にもご注目。直径4mmの真鍮丸棒を埋め込み、ウッドと馴染むように丁寧に仕上げています。真鍮は時間が経つとともに表面が酸化し、より深みのある色合いに変化していく素材です。10年、20年と、共に年月を重ねていくのが楽しみになると思います。
リペアのことを考えて設計されているのも特徴のひとつ。フレームを丸める場合、鏡もそれに沿うように加工する場合が多いため、破損時の修理が難しくなります。
そこでこのミラーでは、鏡を四角形のまま収められるように設計し、修理にかかるコストを下げています。製造の難度は高まるものの、長く使ってほしいとの想いから、このやり方を貫いているそうです。そうそう割れるものでもないですけど、なにかあったときに相談しやすいのは嬉しいですよね(地震が多い国に住んでいるから、なおさらそう感じます)。
これは僕の部屋の写真です。散々悩んで、洋室とキッチンの境目の壁面に設置することにしました。北欧家具や工業系のインテリア、和雑貨などを散りばめた空間にもすぐに馴染んでくれて、ホッと一安心。陳腐な表現ですけど、ずっと昔からこの場所にあるような気がします。
忙しい一日の終りに、ぼんやりと鏡に映る自分を眺めていると、だんだん気持ちがほぐれてきます。それから、「よし。次は理想の脚立を買い求めるぞ」と心が奮い立ってきます。僕のメンバー探しは、まだまだ続くようです。