北欧インテリアデザイナー一覧
Arne Jacobsen|アルネ・ヤコブセン
アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen、1902年 - 1971年)
1902年、デンマーク・コペンハーゲン生まれ。
1927年にデンマーク王立芸術アカデミーを卒業し、2年間コペンハーゲンで建築家として仕事をした後、自身の設計事務所を立ち上げる。
デンマーク建築のモダニストとして世界的に有名で、生み出した作品はデンマーク国立銀行のような壮大な建築から、掛時計やカトラリーなど小物にまで多岐に渡る。
アントチェアは、1952年にデザインされ、その特徴的なアームレスのデザインと丸みを帯びた背もたれで知られています。
堅固で機能的なデザインであり、世界中で多くの場所で使用されています。
1958年にデザインされたエッグチェアは、その名の通り卵の形状を持つ、快適で美しいアームチェアです。
この椅子は高い背もたれと回転機能を備え、デザインアイコンとして認識されています。
セブンチェアは、1955年にデザインされ、シンプルで軽量なデザインが特徴です。様々なカラーや仕上げがあり、世界中のダイニングやオフィスで広く使用されています。
ヤコブセンはコペンハーゲンにあるSAS Royal Hotel(現在はラディソン ブル ロイヤル ホテル)の建築および内装デザインも手がけております。彼のスタイリッシュなモダンデザインの例であり、ホテル内の家具や照明などが彼のデザインによるものとされている。
アルネ・ヤコブセンは、モダンデザインの重要な先駆者であり、今でも高い評価を受けています。
彼のデザインは機能性、美しさ、洗練されたシンプルさを組み合わせたもので、世界中のインテリアデザインや建築に影響を与えています。
代表作「Seven Chair」(1955年)、「Swan Chiar」(1958年)。
他作品
egg chair / fritz hansen
grand prix chair / fritz hansen
ant chair / fritz hansen
munkegaard chair / fritz hansen
T chair / fritz hansen
AJ lamp / Louis Poulsen
AJ royal / Louis Poulsen
・受賞歴
1937年 パリ万博 銀賞
1955年 C.F.ハンセン賞
1957年 ミラノトリエンナーレ 銀賞
1967年 デンマーク工業デザイン協会 ID賞
1968年 米国インテリアデザイナー協会 国際デザイン賞
Arne Vodder|アルネ・ヴォッダー
Niels Vodderのもとで建築と家具製造の経験を積んだのち、コペンハーゲンの王立アカデミーでフィン・ユールに師事。
以来、フィン・ユールは師であり友人であり、ビジネスパートナーでもあった。
卒業後はコペンハーゲンのHindsgaulでオフィス装飾を担当するデザイナーとして働き、1950年に建築家Anton Borgと建築とデザインのスタジオを設立し1,100件にも及ぶローコストな家屋設計も手がけ大成功を収める。
その後、1950 年代から 1960 年代にかけてデンマークの家具が国際的に高い評価を受けたため、ヴォッダーは家具のデザインに転向しました。
ヴォッダーは特にローズウッドという高級な木材を使用した家具で知られ、その中でもダイニングテーブルやチェスト、キャビネットなどが人気です。
ヴォッダーのデザインはシンプルでありながら、機能的で美しいものとされており
Fritz Hansen, Sibast Møbler, Cadovius, Nielaus, Erik Jorgenson, Kircodan.などの会社と仕事をました。
代表作「side board model29A」(1957年)
他作品
chair model FD185 / France & Daverkosen
arm chair model 431 / Sibast Møbler
desk model209 / Sibast Møbler
・受賞歴
1957年 ミラノトリエンナーレ金賞
Alvar Aalto|アルヴァ・アアルト
フィンランド出身の建築家およびアルテックの創始者の一人の家具デザイナー
彼は、機能性、人間工学、自然との調和を特徴とするデザイン哲学に基づいて、多くの革新的で美しい作品を生み出しました。
長く多作なキャリアの中で、アアルトの作品は、市庁舎、劇場、教会、図書館、大学など、ほぼすべての主要な公共施設、さらには標準住宅や個人住宅にまで及びました。
彼自身の住宅である「アルヴァ・アアルトの家」は、アアルト自身のデザインによる建築と家具が展示されており、彼のデザイン哲学を表現する重要な場所です。
代表的なStool 60 Chair 66、特にベントウッドの技法を用いた曲線的なデザインが特徴です。
フィンランドのパイミオに建設されたパイミオ・サナトリウムは、アアルトが設計した建築の一つです。
この建物は患者の健康を考慮した設計がなされており、アアルトの機能主義とモダンデザインの結晶とされています。
彼のデザインの中でも有名な花瓶(アアルト・ベース Aalto Vase)は、特徴的な曲線のフォルムで知られ、フィンランドの芸術とデザインの象徴となりました。
アルヴァ・アアルトの作品は、機能性と美しさ、自然との調和を結びつけたモダンデザインの代表例として高く評価されており、彼の影響は世界中の建築家やデザイナーに及んでいます。
フィンランドのデザインと建築において不朽の遺産を築いた一人とされています。
代表作品 「stool60 / artek」「aalto vase / Iittala」
他作品
model 41 paimio chair / Oy. Huonekalu-Ja Rakennustyötehdas AB
Borge Mogensen|ボーエ・モーエンセン
ボーエ・モーエンセン(Børge Mogensen、1914年 - 1972年)
デンマーク王立芸術アカデミーの前身であるデザイン学校の家具学部でコーア・クリントに師事。その後も助手としてクリントからデザインを学ぶ。
美術工芸学校では同級生としてハンス・J・ウェグナーと出会います。若い頃から木工マイスターとしての修行を積んだ共通点を持った2人はすぐに意気投合しその後長年にわたって交友は続き2人のデザイナーは1945,46はデンマークのインテリアデザインの未来を築く家具展示会でも共同で出展しています。
1942年28歳の時にFDBモブラーの初代代表に就任します。家具デザインの構造の簡素化と細部に人の手を必要とする職人技術を追求し続けました。
彼はミッドセンチュリーモダンスタイルの家具を設計し、そのデザインはシンプルさと実用性を組み合わせたもので、世界中で高く評価されています。
彼の作品は木製フレームとクッションの組み合わせが特徴で、快適性と洗練されたスタイル。
「J39」ダイニングチェアが特に有名で、「Folke Stole」(庶民の椅子)の愛称で呼ばれるほど親しみを持って呼ばれており、シンプルで丈夫であり、デンマークデザインのクラシックとして広く認識されています。
モーエンセンは、デンマークの家具メーカー「フレデリシア(Fredericia)」と提携し、多くの家具を製造しました。この提携により、彼のデザインは世界中に広まりました。
彼のデザインは家具だけなくテキスタイルメーカーC,オルセンのために椅子張り用のテキスタイルデザイン開発にも携わります。様々なメーカーと製品を生み出しており FDB mobler ,Fredericia,Soborg mobler, C.M madsen ,P,Lauritsen & Sonなど多岐にわたります。
シンプルでクラシックなスタイルを特徴とし、機能性と美しさを兼ね備えています。
彼の作品はモダンデザインの愛好家やコレクターに高く評価され、彼のデザイン哲学は今日でも多くのデザイナーに影響を与えています。
代表作,他作品
「J39」(1947年)
「Spanish Chair」(1959年)
「shel chair」1949年 /Erhard Rasmussen
「BM61」1957年 / P.Lauritzen & Son
「model 2254 high back easy chair」 1958 / fredericia Stolefabrik
・受賞歴
1950年 Eckersbergs Medaille(エッカベア賞)受賞
1971年 Furniture Prize(デンマーク家具大賞)受賞
1972年 C.F Hansen Medaille(C.F.ハンセン賞)受賞
Ejvind A. Johansson|アイヴァン・A・ヨハンソン
アイヴァン・A・ヨハンソン (Ejvind A . Johansson、1923年 - 2002年)
1923年、デンマーク生まれ。
20世紀のミッドセンチュリーモダンデザインの時代に活躍しました。
1956年よりFDB Møbler3代目企画デザイン担当責任者を務める。家具の職人技術を習得後、王立芸術アカデミーの前身であるデザイン学校の家具部門で研究に従事。
生活に即した美的な感覚を形に踏襲し、独特の世界観で個性的な作品を輩出した。
彼はシンプルで機能的なデザインを好み、木製の家具や椅子のデザインで知られています。
彼のデザインはスカンジナビアデザインの伝統を受け継ぎながらも、独自のスタイルを持っており、シンプルで実用的なデザインが特徴です。
Ejvind A. Johanssonのデザインはそのシンプルさ、エレガンス、機能性によって高く評価され、ミッドセンチュリーモダンデザインの愛好家やコレクターによって高く評価され、現代のインテリアにも調和し、くの人に愛用されています。
代表作「J67(1957)」
J64 / FDB Møbler
J65 / FDB Møbler
“eye chair” model84 / Ivan Gern Møbelfabrik
Finn Juhl|フィン・ユール
フィン・ユール(Finn Juhl、1912年 - 1989年)
デンマーク・コペンハーゲン生まれ。デンマークの著名な家具デザイナーおよび建築家。
「家具の彫刻家」と称されるほど美しい造形に特徴がある。その背景にはニールス・ヴォッター工房の存在が大きく、デザイナーと工房が結託してた時代に活躍したデザイナーの一人。
現在では入手困難となったブラジリアンローズウッドや良質なチークで作られている作品が多い。
フィン・ユールは自身の住宅を設計したことでも知られており、その家は(ユールハウス(Juhl House))として知られる。
代表作
「No.45」(1945年)
「チーフティンチェア」(1949年)
Bwana Chair (1962年)/ France & Søn
NV55 arm chiar / Niels vodder
・受賞歴
1954年 ミラノトリエンナーレ、デンマークブース設計 金賞
1972年 国家功労芸術基金から年金を受ける
1978年 ロンドン王立芸術協会から特別外国人勲章を授与
1984年 デンマーク国家騎士勲章を授与
Grete Jalk|グレーテ・ヤルク
グレーテ・ヤルク(Grete Jalk、1920年 - 2006年)
デンマーク・コペンハーゲン生まれ。北欧の黄金期に活躍した、数少ない女性デザイナーの一人。
家具職人として修業をした後、王立芸術アカデミーにてコーア・クリントに師事し1953年に独立。
家具デザインだけでなくデザイン史、40年間のデンマーク家具アートを編集者として書き残している。
代表作に、アアルト、イームズに影響を受け実験的に製作が行われた「GJ Chair」(1963年)がある。
1955 年、丸みを帯びた積層木材の椅子シリーズをメーカーのポール・イェッペセンにデザインしました。1963 年、ヤルクはこのスタイルを完成させ、デイリー メール紙が主催した英国の家具コンクールで優勝しました。ヤルクの生涯で製作されたのは数百脚に過ぎませんが、折り曲げて成形した積層木材の椅子は、彼女の作品の中でも象徴的な存在です。彼女の有機的でエレガントな美的感覚は、より広く流通させるために完成させた、よりシンプルで伝統的でモダンな作品にも表れています。これらの作品は世界的に有名になり、デンマークの家具デザインに対する評判を高めました。
ヤルクは自身のデザインのほかに、デンマークのデザインについて幅広く執筆し、1956年から1962年、そして1968年から1974年にかけて家具とインテリアデザインの雑誌「モビリア」の編集を担当し、
「40 Years of Danish Furniture Design」という4部構成の図録もまとめています。
また彼女は外務省や国連女性会議などの展示会をデザインしました。デイリーメール国際家具コンペティションで優勝した椅子は、すぐにニューヨーク近代美術館のコレクションに収められ、現在も常設展示されています。
代表作
「GJ Chair」1963年
model118 sofa 1962年 / France & Son
・受賞歴
1963年 デイリーミラー主催コンテスト最優秀賞
Hans.J. Wegner|ハンス・J・ウェグナー
ハンス・J・ウェグナー(Hans J. Wegner、1914年 - 2007年)
デンマーク・トゥナーに生まれ、14歳で家具職人の見習いとしてデザインの世界に足を踏み入れる。
少年時代、ウェグナーは木彫りに強い関心を示し子供の頃には、地元の博物館に脚をよく運び、彫像からインスピレーションを得ていました。
その後木彫りはやめましたが、木材と彫刻への興味はそのままに、家具職人とデザイナーとしての訓練を受けました。
17歳で指物師の資格を取得し、その後、国立産業研究所で木材についての専門的な研究を重ね、22歳(1936年)からはコペンハーゲン美術工芸学校でデザインの勉強を始めます。
ウェグナーは、同僚であり、友人でもあるボーエ・モーエンセンと同じ年に生まれコペンハーゲン美術工芸学校で一緒に学び、2人のデザイナーは1945,46はデンマークのインテリアデザインの未来を築く家具展示会でも共同で出展しており両者の交友はその後も長年にわたって継続しました。
卒業後の1940年から、アルネ・ヤコブセンとの共同プロジェクトで、オーフス市庁舎の家具のデザインを担当します。彼はオーフスの街に留まり自身の事務所を立ち上げます。
1943年に独立し、1944 年にはボーエ・モーエンセンの長男ピーターの洗礼式のプレゼントとして、
ノックダウン仕様(組立式)の子供椅子をデザインしています。オーフスの街で気に入ったプレゼントが見つからなかったウェグナーが、分解した状態でコペンハーゲンまで郵送できるようにデザインされており、この椅子はピーターズチェアと名付けれられ後にデザインされたテーブルとセットでFDBモブラーのカタログに加えられました。
また同1944年は中国皇帝の玉座にインスピレーションを得たシリーズの最初のチャイナ チェアをデザインしました。このシリーズで最も有名な椅子であるウィッシュボーンチェア、CH24は1949年にデザインされてから現在に至るまでずっと生産され続けています。ウェグナーの最も成功したデザインとなりました。
この頃美術工芸学校の恩師であるオルラ・モルゴー・ニールセンを通じて知り合ったヨハネス・ハンセン工房のために、ウィンザーチェアとシェーカーチェアの両方の要素をバランスよく融合させたロッキングチェアをデザインしました。
また現在に至るまで500脚以上の椅子をデザインし、国内外を問わず多くの展示会では数々の賞を受賞しています。その多くが今日でも生産されている人気の名作になっています。
ルニング賞(1951年)や1984にはデンマーク女王からナイトの称号が与えられ 第8回国際デザイン賞受賞(1997年)やデンマーク王立芸術アカデミーの名誉会員でもあり、ロンドンの王立芸術大学から名誉博士号を授与されています。1995には故郷トゥナーにウェグナー美術館も開館しています。
ウェグナーは「チェアマン(椅子の王様)」とも称されています。
代表作,他作品
「the chair」(1949年)、
「CH24」(1950年)
swivel chair 1955
AP19 Papa Bear chair 1954年 / AP Stolen
Arhus city hall chair 1942年 / Plan Mobler
GE290 Easy chair 1953年 / Getama
CH25 Easy Chair / Carl Hansen
Johannes Andersen|ヨハネス・アンダーセン
ヨハネスアンダーセン( Johannes Andersen 1903-1991年)
1903年、デンマーク・オーフス生まれ。
1922年に家具職人としての認定を受ける。1930年代半ばに自身の建築会社を設立、Trensum、CFC Silkeborg、Bramin、UldumMøbelfabrikなどの企業と協業しさまざまな家具を作り出した。伸びやかで有機的なフォルムに特徴がある。
20代前半に家具職人の見習いを終えたアンダーセンは、Trensum、CFC Silkeborgなど、いくつかの家具メーカーのためにデザインを始めました。数年後、彼は自分の工房を開き、最初から成功を収めました。他のスタジオで働くという制約から解放されたアンダーセンは、デンマークの機能主義と人間中心のデザインを取り入れた独自の特徴的なスタイルをすぐに確立しました。
フィンユールやアアルト同様、アンダーセンも有機的な形状と流れるようなラインに強く惹かれました。彼はコーヒーテーブルの天板やダイニングチェアの背もたれなど、伝統的に正方形または長方形である家具のパネルや表面を、丸い角、面取りされたエッジ、流れるような輪郭を持つ想像力豊かな半月形に変えました。
彼の意外な曲線の使い方は、トレンスムの洗練されたカプリシリーズのハイライトであり、快適な鞍型のアレグラバースツールや、 雑誌を入れるスロットに擬人化された笑顔があしらわれた遊び心がありながらもエレガントなスマイルコーヒーテーブルに見ることができます。
代表作
「SMILEY TABLE」(1957年)
BA113 Arm chair / Andersens Mobelfabrik
“julinae” chair / Uldum Mobelfabrik
Jens.H.Quistgaard|イェンス・クイストゴー
イェンス・クイストゴー(Jens Quistgaard、1919年 - 2008年)
デンマーク・コペンハーゲン生まれ。彫刻家兼デザイナーで、DANSK社の創立者でもある。
「全ての製品は機能的であると共にスタイリッシュであるべきだ」との哲学のもと生み出したデザインは、デンマークのみならずヨーロッパ、アメリカなど世界から評価されている。
その卓越したデザインと高品質な製品で知られ、特にティーセットやサラダボウル、トレイなどが評価されました。
代表作に、「Relief (レリーフ)シリーズ」(1950年代)「Cordial (コーディアル)シリーズ」(1960年代)の器がある。
・受賞歴
1954年 ルニングプライズ受賞
1954年 ミラノトリエンナーレ 金賞・銀賞
Jorgen Bækmark|ヨーエン・ベックマーク
デンマークの家具デザイナーで、シンプルで機能的なデザインで特に知られる。
建具職人および家具職人としての訓練を受けた後、1958 年から 1967 年まで FDB モブラーで働きました。
1958年にFDB Møbler4代目代表に就任。社会繁栄に伴い「民衆の為の家具造り」という同社の哲学に固執することなく、軽くて頑丈な扱い易い家具、輸送を考慮した組立てや分解が簡単な製品を世に送り出した。
シンプルな木製フレームと機能的なデザインを備えた代表的なチェア「J80」は彼の代表作のひとつです。彼のデザイン哲学は、機能性、時代を超越したもの、そして使いやすさを重視しており、その結果、スカンジナビアの美学と実用性を組み合わせた家具が生まれました。
彼のダイニングチェアは快適さとスタイルを組み合わせ、リラックスするための場所として人気があります。
代表作「J80」(1962年)
Kaare Klint | コーア・クリント
コーア・クリント(Kaare Klint、1888年-1954年)
デンマーク・コペンハーゲン生まれ。
「デンマーク近代家具の父」と称され、デザイナー、教授、デザイン界のリーダーとして世代を超えて多くのデザイナーに影響を与えてきた。
彼は20世紀初頭から中盤にかけて活動し、シンプルで機能的なデザインに重点を置いた家具を制作。
デンマーク王立芸術アカデミーの家具デザイン学科の教授としても知られており、多くの有名なデザイナーを育成。
彼が提唱した「人間工学」「リ・デザイン」の思想は、様式を重視したそれまでの建築や家具デザインの手法を大きく改革したことで高く評価されている。
ファーボー美術館の家具デザインを担当したクリントは古典様式を生かしながら環境に合わせてリデザインすることに取り組みました。
彼は古代ギリシャ時代に流行した美しさと、機能性を併せ持つ椅子 「クリスモス」や父イェンセンクリントンのフレームチェアを参考にして
古典をそのままなぞらえるだけではなく構成要素を簡素化してリデザインすることに取り組み、ファーボーチェアを生み出しました。
代表作
「Faaborg Chair」(1914年)。
「Red Chair」
「safari chair」
「church chair」
・受賞歴
1949年 英国工業デザイナー協会勲章
1954年 C.F.ハンセン賞
Kai Kristiansen|カイ・クリスチャンセン
デンマーク生まれ。
1929年にデンマークで生まれたクリスチャンセンは、もともと家具職人として訓練を受け、その後コペンハーゲンのデンマーク王立芸術アカデミーで有名な建築家兼家具デザイナーのコーア・クリントに師事しました。デザイナーは1955年にコペンハーゲンに自身の事務所を開設し、1970年代には同時代のイルム・ヴィッケルソと共同で事務所を構えました。
20世紀の中頃から1960年代にかけて活動し、1966年から1970年までのスカンジナビア家具見本市の共催者を務めました
高品質な材料と製造プロセスを重視し、木の温かみと美しさを引き立てるデザイン、シンプルで機能的な美しさ追求したデザインが特徴です。
カイ・クリスチャンセンは、滑らかで幾何学的なミッドセンチュリーモダンのキャビネット、テーブル、ダイニングチェアでよく知られているデンマークの家具デザイナーです。オーク、チーク、ローズウッドを素材として、FM ウォールユニット、モデル 42 チェア、モデル 31 チェアなど、人気のある先駆的な作品を制作しました。
日本では2014年から宮崎椅子製作所で、いくつかの商品が復刻されている。
代表作
「NO.42」(1956年)、「NV31」(1956年)、「FM Reolsystem Wall Unit」(1957年)
Mogens Koch|モーエンス・コッホ
デンマーク・コペンハーゲン生まれ。コーア・クリントの弟子でデンマーク家具黄金期の礎を築いた一
人。
家具デザイナーとしてモーエンス・コッホは、折りたたみ椅子(1932年)、マホガニーと革のウィングチェアNo.50とアームチェアNo.51(1936年)、ブックケース(1928年)で知られています。
王立芸術院で教える前、コッホは著名な建築家で教授のコーア・クリントに師事するという幸運に恵まれた。クリントはコッホに、家具設計だけでなく、記念碑、建物、織物、銀食器のデザインなど、永遠に残るデザインを描くよう課題を与えました。
クリントは学生時代のモーエンス・コッホの才能に明らかに感銘を受け、コッホは卒業後、カール・ペーターセン、イヴァル・ベンツェン、コーア・クリントの建築家スタジオにコッホは1925年から1932年までこのスタジオで働き、ここで彼はデンマーク機能主義の伝統の背後にある原理を学びました。
モーエンス・コッホがデザインした家具は、快適さ、機能性、美しさの要求に応える、最もエレガントで実用的なソリューションです。コッホのデザインは 1932 年以来、ルド・ラスムッセン社の中心的な特徴であり、彼の家具デザインの多くは現在でも生産されています。1934 年、コッホは自身のスタジオを開設しました。
クリント同様、コッホは家具デザインにおける先代の経験をしばしば利用し、その経験を自身のデザインに取り入れました。コッホの最も有名な作品には、フレゼレクスベアの王立獣医農業大学の拡張があります。これは、スティーン・アイラー・ラスムッセンとの共同プロジェクトでした。コッホは 1928 年に非常に成功したセクショナル ブックケースをリリースしました。1933 年にデザインされた「Folding Chair」は 1959 年まで製造されませんでしたが、現在でも製造されています。コッホは教会の改修でも知られています。
モーエンス・コッホの職業的方向性は 1950 年代に少し変わり、教会やその他の建物の改修に多くの時間を費やすようになりました。彼は、コペンハーゲンの旧フレゼリクス病院をデンマーク美術博物館用に改修する作業に携わりました。
コッホの最も有名な家具は、1928年に自宅用にデザインされた四角い本棚です。この本棚は、特に柔軟性が高く、省スペースなデザインで、将来の本の形式に合わせて調整可能でした。コーアクリントと同様に、モーエンス・コッホは、自身のデザインに役立てるために、数学や人体の比率の研究、歴史的な家具の研究に多くの時間を費やしました。コッホの実用的で自然な家具は、通常、壊れにくくメンテナンスのいらない素材で作られています。モーエンス・コッホは、コーア・クリントの機能主義の教えを完全に実現することに成功した数少ないデンマークの建築家の一人です。
デザインスクールでは後進の指導も行う。機能主義を原則とし、住宅、家具、テキスタイル、銀製品のデザインや執筆など幅広い分野で活躍した。
代表作に「Folding Chair」(1932年)、FDBモブラーのブックケース(Book case)がある。
・受賞歴
1938年 エガスベア賞
1963年 C.F.ハンセン賞
1990年 デンマークデザインセンターのクラシック賞
1990年 デンマーク国立銀行記念賞
1992年 ドレイアー名誉賞
Nanna Ditzel|ナナ・ディッツェル
ナナ・ディッツェル(Nanna Ditzel、1923年 - 2005年)
デンマーク出身の女性家具デザイナーで女性デザイナーの先駆者。
彼女は家具の他にもアクセサリーやテキスタイルのデザインを手掛けており
色彩にもこだわりを持ったデザイナーでした。
曲線的なデザインやシンプルなフォルムが特徴である、「Rana Chair」と「Ring Chair」などが代表作。
1946年にコペンハーゲン王立美術院を卒業し、夫であるヨルゲン・ディッツェルとともに多くのプロジェクトに取り組む。
ディッツェル夫妻は、戦後のデンマークの多くのデザイナーと同様に、キャリアの初期を共に過ごし、小さなアパートにふさわしい家具を揃えるために、拡張したり、分離したり、二重の目的を果たしたりできる家具を作ろうとしました。
初期の頃は、子供用家具に焦点が当てられていましたが、すぐに家の他の部分のためのアイテムのデザインに移行しました。彼らの革新的なデザインには、天板が取り外せるトレイになるティーテーブルと、足元に向かって細くなって場所を取らない 1951 年のベッドの 2 つがありました。
1949 年、ディッツェルは、機能的でありながら装飾性が高い曲線の2 人掛けソファと、1951 年のクヌート ウィラドセンのための長椅子をデザインしました。
天井から吊り下げられるように設計されたディッツェル夫妻の居心地の良い 1959 年の「basket 」チェアは、籐を使った彼らの実験の最も有名な例です。彼らはまた、1950 年代にラヴンホルム工場向けにエナメル製のキッチン用品セットをデザインし、ナンナは 1950 年にゴールドスミス協会から賞を受賞したジュエリー シリーズをデザインしました。
1954 年、彼らはジョージ ジェンセンのデザインを始めました。
ヨルゲンは 1961 年に亡くなりましたが、ディッツェルはスタジオを存続させ、木製家具や銀製ジュエリーのデザインなど、さまざまな媒体で仕事を続けました。1962 年、ディッツェルは子供用の多目的な積み重ね式スツールまたはテーブルである「Toadstool」を発売し、成功を収めました。
代表作
「hanging Egg Chair」 1959
「Basket Club Chair」 1951
「Coat Stand」 1963 / Snedkergaarden
Niels.O.Moller|ニールス・O・モラー
デンマーク出身の家具デザイナー。
家具製造業の家庭に生まれ、若い頃から木工技術を学びぶ。後に家具デザイナーとしてのキャリアをスタートさせ、自身の工房も設立。
数多くのダイニングチェアのデザインを手がけたが、その中でも「Model 78」や「Model 71」などが代表作で、曲線的なバックレストとシンプルな座面が特徴。
ニールス・オットー・モラーは、1920 年にデンマークのオーフスで生まれました。
1939 年に家具製作の見習いを終えた後、さらに勉強するためにオーフスデザイン学校に入学しました。1944 年に彼は故郷の小さな工房に、厳格な技術生産を行う家具会社 JL モラーズ モーベルファブリックを設立しました。
1952 年までに、同社はドイツと米国への輸出を開始しました。生産量の増加に伴い、より広いスペースが必要となり、オーフス郊外のホイビャウにさらに大きな工場を開設しました。
同社は、1974 年と 1981 年にデンマーク家具賞などの名誉ある賞を受賞しました。JLMollers Mobelbrik は現在も存続しています。同社は常に家族経営の会社であり、Niels Otto Moller の息子である Jorgen Henrik Moller が経営しています。
モラーがデザインした家具は、実にエレガントで高品質です。天然木材や着色木材など数種類の木材で作られています。彼がデザインした椅子はどれも美しく、座り心地も良く、何十年も前にデザインされたものですが、今でも生産されている椅子もあります。特にローズウッドは、保護木材であるこの椅子がもはや生産されていないため、ミッドセンチュリー愛好家の間で大変人気があります。
代表作
chiar model78 1962年 / JLMollers Mobelbrik
chair model71 1951年 / JLMollers Mobelbrik
Ole Wanscher|オーレ・ヴァンシャー
デンマークの家具デザイナー。
1903年コペンハーゲン生まれ。
1925年から1929年までデンマーク王立アカデミー家具科で家具デザインを学び、コーア・クリントの愛弟子の一人です。レッドチェア(クリントが手掛けた椅子)のデザインにも関わっています。
1928年に自身のデザイン事務所を設立し家具デザイナーに専念。
王立アカデミー家具科の教授にも就任。
家具教育者として多くの若いデザイナーも指導した。
「Colonial Chair」(コロニアルチェア)、「Egyptian stool」(エジプシャンスツール)や「Rungstedlund Chair」(ロングステッドルン)など美しい作風を作り上げる。
削り出しのローズウッドやマホガニーからなる細身のフレームや佇まいからヴァンシャーのデザインされたものは”エレガント”という言葉がよく当てはまります。
キャビネットメーカーズギルド展ではA.J.イヴァーセンやルドラスムッセンといった当時のデンマークを代表する腕の良い家具職人と組んで積極的に参加し、多くの作品を残しています。
代表作
コロニアルチェア
エジプシャスツール
Poul M.Volther|ポール・M・ヴォルタ
デンマーク生まれ。
家具職人としての経験とデザインを学んだ知識を生かし、1949年にハンス・J・ウェグナーを介してFDB Møblerに入社。
ボーエ・モーエンセンの後を継ぎ、1950年にわずか27歳でFDB Møblerの2代目代表に就任。
モダンでシンプル、機能性を第一に掲げた「人々のための家具造り」を基盤とした。
代表作に、当時デンマーク国内で最大のヒット商品となった「J46」(1956年)がある。
Poul Henningsen | ポール・ヘニングセン
デンマーク・コペンハーゲン生まれの照明デザイナーおよび作家。照明器具のデザイン分野で特に優れた業績を持つ人物です。
1925年、パリ工芸博覧会へのデンマーク参加に先立ち開かれた照明デザインコンペで入選し、ルイスポールセン社との契約が始まり同社で数多くの作品を発表する。
代表作である『PHランプ』は、「対数螺旋」と呼ばれる曲線を用いたシェードの組み合わせにより、不快なまぶしさ(グレア)を抑えることで、心地よい灯りを生み出す。
代表作「PH5」(1958年)、「PHアーティチョーク」(1958年)
Peter Hvidt & Orla Mølgaard Nielsen|ピーター・ヴィッツ&モルガードニールセン
デンマーク・コペンハーゲン生まれ。ともに建築家である二人は共同の設計事務所を開設し、家具・装飾・建築の分野で活躍した。
代表作に「Portex chair」がある。
・受賞歴
1951年 1954年 ミラノトリエンナーレ ディプロムドヌール受
Space Copenhagen|スペース・コペンハーゲン
デンマーク王立芸術アカデミーを卒業したシーネ・ビンスレウ・ヘンリクセンとペーター・ブンゴー・ルツォーにより、2005年に設立。
アートインスタレーションやインテリア、家具、日常使いのさまざまなデザインを幅広く手掛けている。
家具、照明、オブジェクトから、世界各地の個人邸宅やホテル、レストランのアート・インスタレーション、インテリアデザインをも手がける。
&Tradition(アンドトラディション)でもデザインを手がける。
Verner Panton|ヴァーナー・パントン
1960年代から70年代にかけデザイン界を牽引。
コペンハーゲン王立美術アカデミーで建築を学び、卒業後にアルネ・ヤコブセンの建築事務所で従事。1960年初頭にスイスに移住。
家具、照明の独創的で斬新なデザイナーとして、Vitra(ヴィトラ)、Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)、Louis Poulsen(ルイス・ポールセン)など、世界的ブランドから作品を数多く発表した。
Panton Chair(パントンチェア)、ムーンペンダントライト、Amoebe(アムーベ)、Cone Chair(コーン チェア)は代表作。
Bruno Mathsson|ブルーノ・マットソン
建築家兼デザイナーで、シンプルで美しく優雅なフォルムを提唱し、自身の家具デザインにもその本質を取り入れた。
また製造に成形合板技術を採用するなど、技術とデザインの両面で革新的なアプローチをとった。
代表作に「Eva Chair」(1930年代)がある。
・受賞歴
1937年 パリ万博 金賞
Erik Buck|エリック・バック
デンマーク・コペンハーゲン生まれ。
曲線を用いた滑らかなデザインと有機的で機能的な美的感覚な椅子、スツール、キャビネットなどの家具も生み出した。
代表作に、「Model 49 chair (1949)」、「OD61 (1964)」があり、Oddense Maskinsnedkeri製の物はほとんど製作された年がモデル名となっている。
1973年に亡くなった説と1982年の説があり、プライベートな生活についてはほとんど知られていないが、市場では彼の優れた作品は多く見られ高く評価されている。
Hans Olsen|ハンス・オルセン
1953年にデザイナーとして独立。
HANS OLSENのデザインした家具は、人間工学と人体測定学を取り入れているためデザインと機能面に優れ、ディネッテダイニングテーブルなどが代表作。
Ilmari Tapiovaara|イルマリ・タピオヴァーラ
アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)やLe Corbusier(ル・コルビュジエ)に師事しデザインを学ぶ。
アアルトの精神を受け継ぐフィンランドデザインの巨匠。
木を使った作品が多く、椅子や机などのデザインを中心に様々な方面でのデザインを務めた。
Domus Chair(ドムスチェア)が代表作。
Morten Gøttler|モーテン・グットラー
独学で建築とデザインを学び、家庭用品、パッケージ、グラフィック、照明などのデザインも多く手掛けるが、1984年以降は家具のデザインに専念し、シンプルで軽快なフォルムをもつ北欧モダンな作品を発表。
Paul Kærholm|ポール・ケアホルム
コペンハーゲンのデンマーク美術工芸学校で家具職人として修練を積む。
ケアホルムはスチールを好み、レザー、籐、大理石、木材といった素材を組み合わせた作品を生み出した。
PK22(イージーチェア)、PK25(エレメントチェア)が代表作。
Henning Kjærnulf|ヘニング・ケアヌルフ
EG Kvalitetsmobel社やNyrup Møbelfabrik社、Vejle Stole Møbelfabrik社などのデンマークの家具メーカーから生産。