• インタビュー

「季節を楽しむツキイチレストラン」シェフ 大久保ゆかさんへインタビュー

鳥取県鳥取市用瀬町にある「リベルタ・ラ・クチーナ」のシェフ・大久保ゆかさん。
この度、greeniche米子店でオープンした月一回の特別なレストラン「季節を楽しむツキイチレストラン」で、お料理を担当してくださることになりました。

笑顔が素敵で温かい雰囲気の大久保さん。
素材にこだわった美味しいお料理のルーツは?暮らしのこと、お仕事のことなど、大久保さんのさまざまな魅力に迫ります。


-改めまして、この度は「季節を楽しむツキイチレストラン」にご賛同・ご協力をいただき、ありがとうございます!

こちらこそ、素敵な機会をありがとうございます。
もともとグリニッチさんは知っていましたが、昨年7月にできたお店「リベルタ・ラ・クチーナ」の家具をグリニッチさんで購入したことがきっかけで、このように一緒に新しいことができて嬉しいです。

リベルタ・ラ・クチーナさん
グリニッチのラウンドテーブル「Aarborg」と、FDB Moblerの「J46 Black」をお選びいただきました。

-米子店店長の古川が、商品のお届けの際に3度ほど店舗へお邪魔したそうで。その時の大久保さんのお料理とおもてなしが素晴らしい!と感動したことから、この企画(「季節を楽しむツキイチレストラン」)が立ち上がりました。
大久保さんのお料理のルーツについて、教えていただけますか?

お店のお料理は、母の料理がベースになっているかなと思います。堅苦しくなくて、お家で食べているような安心感のある料理。
母は料理が好きな人で、料理本や雑誌に載っているレシピをベースに、近所の方からいただいた旬の食材を使ってうまくアレンジするのが上手でした。
共働きだったため、父もよく料理をしていましたね。
母と父が楽しそうに料理をしているのを見て育ったので、私も自然と料理好きになりました。
中学生になってからは、自分でお弁当も作っていました。

-すごいですね!私が中学生の頃は、部活動やいろんな楽しいことがあって、自分でお弁当を作る気持ちになれませんでした。

「やらなきゃ」というより、楽しくて自分で作っていた感覚です。バレーボールやフィールドホッケーなど部活動にも打ち込んでいましたが、同じくらい料理も楽しくて。妹も同じように自分でお弁当を作って、持って行ってました。
料理=家事労働、ではなくて、楽しいイメージを持てたのは、両親の影響かもしれません。母や父と一緒に料理をしたのも楽しい思い出です。

-子供の頃から料理に興味があったんですね。料理の道にはどのようにして進まれたのですか?

大学で栄養士の資格を取得した後、社員寮や保育園で栄養士として働いていました。料理の専門学校ではなく栄養士の道を選んだのは、食に対してもっと深い知識をつけたい、という思いがあったから。調理だけでなく、食に関するいろんなことに関わりたいと思ったんです。
その後、結婚もあり栄養士の仕事を離れてからは、税理士事務所の事務職など、全く別の仕事をしていました。
でもその間も、お家では保存食を作ったり、季節の手仕事をしたり、暮らしに料理が寄り添っていました。

-再び、料理に関わる仕事をしたいと思ったのは、どんなきっかけですか?

10年ほど前、事務職をしばらく続けるうちに、頑張りすぎたのか身体を壊してしまって。若い時には無理がきいたことも、年齢を重ねると、一度踏みとどまって考えることが大切だと気付きました。
そこでまずは自分の身体を整えよう、と思い、ピラティスに通うようになりました。
そこの先生が、ヨガや心理学もやっている人で、「自分の気持ちに正直になって、やりたいことをやった方が良いですよ」と教えてくれたんです。
今でも慕っている、私に大きな影響を与えた理想の人です。

-素敵な出会いだったんですね!メディテーションや瞑想など、心を整えたり自分に向き合うことが大事、というのは最近ではよく言われますが、大久保さんは10年前に既に体感していたんですね。

その先生は、実は私と同じく栄養士の資格を持っていて。食べるものがその人そのものや、その人の気持ちを作る、ということも教わりました。でも、例えば「ジャンクフードはダメ」ではなく、「ジャンクフードを罪悪感を持って食べたらダメ。」という考え。ジャンクフードだって、自分の糧になる。マイナスの思考ではなく食に向き合う考え方で、私もとても共感しています。

-あれもダメ、これもダメ、では、食べることが窮屈になってしまいそうですよね。素敵な考え方だな。
「自分のやりたいことを」と考えた結果が、今のレストランだったんですか?

初めから「レストランを持ちたい」と思っていたわけではなくて。その頃、オーガニックマーケットに好きでよく行っていたのですが、そこで出店している農家さんや周りの主婦の方々とお話をする中で、ある日、自分が栄養士の資格を持っていることや、季節の手仕事をしたり料理が好きなことを話したんです。
それを聞いた今のオーナーが、当時はコーヒー豆の販売で出店をしていたのですが、声をかけてくれて。「今度、海辺でトレーラーカフェを始めようと思うんだけど、一緒にやらないか」と。
「やりたいことを仕事に」の言葉がいつも心にあった私は、旦那さんに相談して転職を決意。日本海をバックに、トレーラーカフェでコーヒーやデザートを提供する仕事をしていました。今回「ツキイチレストラン」でお出しするデザートも、その頃から人気のバスクチーズケーキなんですよ。

-またまた素敵な出会い!好きなことを口にしたことで、良い出会いを引き寄せたんですね。

うちのオーナーが、そういった人と人をつなぐのがとても上手な人で。私に大きな影響を与えたもう一人が今のオーナーです。

トレーラーカフェで3年間働いたあと、「次はレストランだ」ということで任せられたのが、今の「リベルタ・ラ・クチーナ」。
ここはただ食事を提供するレストランではなくて、いろんな人の悩みや不安に寄り添える場所にしたいと思っています。

身体を崩したり、精神的に疲れてしまったり、最近ではコロナ禍でストレスを抱える人も増えていると感じます。
そういった方々に少しでも寄り添えるように、健やかになるための選択肢を提案する場所にしたい。
それは口にする料理かもしれないし、身体を動かすことだったり、身の回りを整えることかもしれない。
レストランでは身体に優しい料理を提供していますが、レストランの前にあるお庭では、これからいろんなイベントを予定しています。
例えばヨガをして身体を動かしたり、焚き火をしてコミュニケーションを取ったり、いろんな角度から人を元気にする提案をしていきたいです。

-料理だけでなく、暮らしに様々な形で寄り添ってくれる場所。新しいレストランのあり方な気がします。これからの「リベルタ・ラ・クチーナ」にますます期待です!
ちなみに、好きなことをお仕事にされた大久保さんですが、プライベートでもお料理はされますか?

もちろん、家でも料理は好きでやります。私の場合、仕事とプライベートの境目がないというか、ゆるやかにつながっている気がします。
レストランで出す料理の試作は、食べる専門の旦那さんの役目で(笑)。私の好きなことに協力してくれて、とてもありがたいです。

家では、台所に立っている時間がとても好きで。
私はあえて「キッチン」ではなく「台所」と呼んでいるのですが、キッチンよりも台所の方が、料理だけでない「生活する場所」の響きがあると思うからです。

元々、日本の台所は家の中心にあるのが普通でしたよね。特に鳥取のように雪に閉ざされる期間が長いと、食が楽しみというか、食が暮らしの中心になりやすいのだと思います。人の往来も少なくなるから、家族と楽しめるものは、美味しい料理。台所にはそんな、「暮らしの中心」の意味が強い気がして、好んで使います。

私の場合例えば、台所ではその日の食事だけでなく、手仕事もします。手仕事で作る保存食は、数日後に食べるものだから、それも暮らしの一部になっている。
使う食材で四季を感じとることもできますし、本来捨てられる食材を余すことなく使えるので、サステナブルの意識も根付く。
またそうやって手仕事をしていると、旦那さんも台所に寄ってきて、食材の香りで季節を感じたり、会話が弾みます。
台所は私にとっては、ただの家事の場ではなくて、四季を感じたり、会話したり、学んだり・・といった、暮らしの一部といえるかもしれません。

-「台所」に込められた大久保さんの想いを聞くと、大久保さんがいかに料理がお好きで、そして大切に想っているかを感じられます。
最後になりましたが、大久保さんが暮らしや仕事で、大切にしていることを教えてください。

感謝、ありがとうの言葉です。
「有難い」の言葉通り、「あること」は本当に難しいことだなと思います。いろんな方に会えるのも感謝、いろんな人に支えられていることに、日々感謝です。体調を崩した時期はどうしても余裕がなくて、感謝をする気持ちが薄れてしまいました。そうすると、何をやっても辛くなってしまって。感謝する気持ちを強く持つことで、相手だけでなく自分も満たされる、と気付いてから、感謝の気持ちは欠かさないようにしています。


お人柄もそのお考えも、とても魅力的な大久保さん。
大久保さんから生み出されるお料理には、優しさと、気遣いと、たくさんのありがとうの気持ちがきっと、詰まっているのだと思います。

大久保さん、素敵なお話をありがとうございました。

広報 岡田

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