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心地いい空間のための、北欧式・家具選び
自分らしくいられる、心地良い居場所づくりが得意な北欧の人々。
どんな基準を持って、どのようにもの選びをしているの?
その背景には、北欧の人々の豊かさにもつながる考え方がありました。
北欧の人々に学ぶ、心地いい空間をつくるための家具選びを紹介します。
どんなことが好き?自分の「ニーズ分析」
「自分が何を好きなのか、それを他人から学ぶことはできない」とは、インテリアデザイナーであるテレンス・コンラン氏の言葉。自分らしくいられる空間づくりのためには、「まず徹底的に自分自身を分析することが必要だ」と北欧の人々は言います。自分の性格の物理的・精神的なニーズを把握し、肯定してあげる。そして「人間としてどう形づくられてきたか」の方にインテリアを合わせることで、見栄えだけでなく、自分が本当に良いと思う”自分らしくいられるインテリア空間”が実現します。
例えば、暖かくして心地いい記憶がよみがえるのはどういうディテール?誰も見ていないとき、快適に過ごすためにどんなことをしている?自分の中にある答えが、心地いい空間を作るための「手がかり」となるのです。
嫌いなものから、自分の”好き”を知る
自分の好みをはっきりさせたい時に使えるテクニックとして、「好きではないもの」を分析する方法もおすすめです。なぜ嫌いなのか?を分析することで、自分が避けたいものと、逆に心惹かれるものがはっきりと見えてきます。自分が目指したい方向と避けたい方向、それを並行して考えることで、自分の心の中の方向性に気づくことができるのだそう。
<お気に入りのインテリアが見つかるチェックリスト>
・子どもの頃を思い出してみましょう。インテリアに素敵な思い出はありますか?もしあれば、その部屋や場所を描写してみましょう。
・どういうときにいちばん幸せな気分ですか?それはなぜ?
・将来どのように暮らしたいか、イメージはありますか?
・どんな色が好きですか?嫌いな色は?
・クラシックな古い家具が好きですか、それとも新しいモダンなデザインに惹かれますか?エレガントが好きか、素朴なスタイルがいいのかなど、いちばん好きな雰囲気を絞り込んでください。
・どんな樹種、どんなフィニッシュ(明るい色、暗い色、無塗装、ラッカー、ペイントなど)がいちばん好きですか?
・どのインテリアショップがお気に入りですか?それはなぜ?
・お気に入りのホテルやレストランはありますか?それはなぜ?
・予算はどのくらいですか?部屋の家具・インテリアに費やす額はいくらが適当でしょうか?
「どう生活したいか」を基準に家具を決める
自分の性格と、家でどのように過ごしたいか。「人からどう思われたいか」ではなく、「どう生活したいか」で家具を決めると、たとえ同じ間取りのお家でも、人それぞれ違う、その人にあった心地いい空間を作ることができます。
あなたがいちばん好きなのは、いつ、何をしている時?それがわかったら、その時間を増やせるような空間をつくります。
例えば...
・自由な時間があれば、友人と過ごしたい
→リビングには大勢で座れる大きなソファを置く
・休日は本を読んでリラックスしたい
→心から快適に座れるアームチェアを選ぶ
・社交的で人と過ごすことで元気になれる人
→大きなダイニングテーブルを選んで、家族の人数より多い椅子を選ぶ
・ストレスを感じている人
→心休まる絵画、キャンドルを置いて、リラックスできるスペースをつくる
・家族ともっとコミュニケーションをとりたい
→ソファ同士を向かい合わせにしたり、リビングテーブルを囲むようにアームチェアを配置するなど、会話が増えるようなレイアウトにする
”永く価値あるかどうか”で家具を選ぶ
家の中で過ごす時間が長く、その家具と付き合う時間も長い北欧の人々。彼ら彼女らにとって、時間が経っても飽きず、永く愛着がもてるということは、インテリア選びに欠かせない大切なポイントです。
ずっと暮らしに寄り添い、次の世代にも受け継ぐことができる。そんな、永く価値ある家具選びのポイントを教えてもらいました。
①フィット感と快適さで選ぶ
部屋の条件やサイズにいちばん合うものはどれ?家具の使い方を考えると、どの素材がいちばん機能的?トレンドだから、面白いから、かっこいいから、安いから...ではなく、「フィット感と快適さ」を考慮することで、"短命な買い物"を避けることができます。
②クラシックな家具を選ぶ
「不朽の名作」と称される家具やインテリアは、一時的なトレンドとは一線を画し、その時代を生き延びて、全盛期が終わったあともデザインアイコンとして君臨し続けます。独創的なデザインで、確かな品質。クラシックデザインを選ぶことも、永く使える家具選びの一つです。
③品質で選ぶ
未来のアンティークショップに並ぶ家具はおそらく、現在大量生産されているラミネート板の棚や合板の家具でないでしょう。なぜなら、構造的に修理不能だから。表面をサンディングできないので、傷や亀裂の修復ができないのです。また、ファッション性の高い家具は一定期間の販売の場合が多く、後々スペアパーツや部品が手に入らず、家具の寿命を延ばすことができません。
職人の手によって作られた無垢の家具を選ぶなど、"品質"の視点で永く使える家具選びの基準は、以下の通りです。
・無垢材
・FSC認証を受けた樹種
・表面がオイル、ソープ、ワックス仕上げ
・自然由来またはオーガニック塗料
・天然なめし加工の革
・取り外し可能・洗えるカバー
・天然繊維(リネン、綿、ウールなど)
・リサイクルポリエステル
④車のトランクに入るインテリアを選ぶ
住まいのサイズやデザインに縛られないようなもの、つまり引っ越しても使えるものを選ぶことも、永く寄り添う家具選びの基準です。車のトランクに収まるサイズで、住まいの条件に依存しないもの。アート、デザインランプ、キャンドルスタンド、クラシックな花瓶、陶器、カトラリー、椅子は、一生寄り添うことのできるインテリアと言えます。
⑤高トレンド+高ハンドメイドのものを選ぶ
高いトレンド性と高いハンドメイド品質を兼ね備えた家具やインテリアは、時代を超えて愛され、後々普及の名作になる可能性が高いアイテムです。真鍮や銅といった金属のアイテム、吹きガラスの工芸品など耐久年数の長い素材を選ぶこともポイントです。
⑥低トレンド+高ハンドメイドのものを選ぶ
インテリアとしては目立たないものの、上質なハンドメイドのものは、永く寄り添う家具となる可能性が高いです。ベッドやマットレス、日々の食器やカトラリーなど、トレンド性よりも「一生目を飽きさせないこと」が重要なアイテムは、この基準で選ぶのがおすすめ。品質の高いものを選ぶことで、中古としての価値が高くなることもメリットのひとつです。
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北欧の人々の家具選びの基準、いかがでしたか?もの選びの参考になるだけでなく、その考え方にも、私たちの暮らしを豊かにするヒントがたくさん詰まっていました。
ここで紹介した内容は、書籍「北欧式インテリア・スタイリングの法則」(フリーダ・ラムステッド著/フィルムアート社)を参考にしています。書籍はグリニッチ代官山店、米子店でも大好評販売中です。興味のある方はぜひ、お手にとってみてくださいね。
広報 岡田