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デンマークの教育に学ぶ 「自分らしい生き方」と「学び直し」の価値
「自分らしく生きる」とは、どういうことなのでしょうか。仕事や家庭、趣味に追われる日々のなかで、この問いに向き合う時間はなかなか取れません。しかし、北欧、特にデンマークの教育文化には「自分らしい生き方」を見つけるためのヒントが詰まっています。
デンマークの成人教育システム「フォルケホイスコーレ」は、試験や成績の評価に縛られず、自分を深く見つめ直す機会を提供するユニークな学びの場です。ここでは、自分が本当に大切にしたいものを見極め、人生をより豊かにするための時間が流れています。
フォルケホイスコーレの魅力 ー 「自己主導型の学び」
フォルケホイスコーレは、年齢や職業、人生経験を問わず、誰もが自由に学べる場所です。一般的な学校とは異なり、試験も成績評価もありません。知識を詰め込むのではなく、「自分が本当に興味を持つものを学ぶ」ことが目的とされています。
この教育スタイルの背景には、デンマークの教育思想家ニコライ・フレデリク・セヴェリン・グルントヴィの哲学があります。彼は「学びは、人との対話や共同体験を通じて深まる」と考えました。そのため、フォルケホイスコーレではディスカッションや対話が重視され、生徒同士が互いに学び合う文化が根付いています。
共同生活が育む「つながり」と「共感」
フォルケホイスコーレの多くは、寄宿形式を採用しており、異なるバックグラウンドを持つ人々と共に生活を送ります。朝食を共にし、講義の後は一緒にディスカッションをし、夜には深い対話を楽しむ。この日常のなかで、他者の価値観に触れながら、自分自身の考えを整理する機会が生まれます。
日本では、学びの場において競争が重視されることが多いですが、デンマークでは「共感」と「協力」が教育の軸となっています。他者と共に考え、意見を交換しながら成長していく。自分らしさを発揮するためには、他者との健全な関係が不可欠であり、その土台がフォルケホイスコーレで育まれるのです。
内省の時間 ー 「自分を知る」ための学び
現代社会では、忙しさに追われるあまり、自分自身についてじっくり考える時間を確保するのが難しいこともあります。しかし、フォルケホイスコーレでは、自然の中で散歩をしたり、哲学的なテーマについてじっくり議論したりする時間が設けられています。
こうした時間を通じて、自分が大切にしたい価値観やこれからの生き方を深く見つめ直すことができます。例えば、ギャップイヤーを利用して人生の方向性を模索する若者や、ワーキングホリデーの一環として新しい価値観を吸収しようとする人など、さまざまな目的を持つ人々が集まります。
異なる世代、異なる経験を持つ人々との交流は、自分の考えをより明確にし、新たな視点を得る機会にもなります。
「学び直し」がもたらす可能性
日本でも近年、「リカレント教育」や「生涯学習」が注目されています。キャリアの転機や人生の節目で学び直すことは、新たな可能性を広げるだけでなく、自分らしい生き方を築くうえで重要な要素です。
デンマークのように、年齢や成績に縛られない学びの場が増えれば、より多くの人が自己実現に向けた道を模索できるようになるでしょう。実際に日本でも「大人のための学び直し」への関心が高まっています。
学びは、決して若い世代のためだけのものではありません。人生のどのタイミングでも、新たな知識や視点を得ることで、自分の世界を広げることができるのです。
自分らしい人生への第一歩
「自分らしく生きる」とは、自分の心が何に動かされ、どのような未来を望んでいるのかを理解することから始まります。北欧の教育文化に触れることで、学びが「義務」から「楽しみ」へと変わり、新しい人生の扉が開かれるかもしれません。
デンマークのフォルケホイスコーレが示す「学びの本質」は、知識の獲得だけでなく、「自分自身を深く知ること」にあります。
私たちも、この考え方を日常に取り入れてみませんか?
「学び直し」は、新しい自分を見つける旅のはじまりです。