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リペア職人から見たヴィンテージ家具の魅力

こんにちわ、グリニッチ代官山の福田です。今回は、6月に入荷したばかりのヴィンテージ家具を弊社リペアスタッフが職人目線で魅力を語っています。2商品ともニッチで濃い内容になっておりますが、ご覧ください。

Poul M. Volther Dining Chair J48 R412D221B

シンプルかつ機能性にとことんこだわったPoul.M.Voltherの『J48』
フレームはオーク材で3本の笠木からなる背が特徴的です。丸みを帯びた緩やかな曲線がそっと体を包んでくれるような椅子で安定感があります。笠木は1本ずつ取り外してからサンディング、オイル仕上げと丁寧にリペアをしています。
曲線をそのままに笠木とフレームをサンディングし、それらをカーブに沿って隙間なく再接着する技術が必要となるchairです。

※グリニッチのヴィンテージのリペアはこちらのブログより

ビンテージに使われているオーク材はヨーロピアンオークが多く、今のオーク材に比べ特に良質な木材で作られたからこそにじみ出る雰囲気と、オイル塗装をするととても深いあめ色を感じさせる色になります。経年変化の風合いと共にガラリと表情が変わり、質感もよく個人的にもとても好きな1脚です。ビンテージ品ならではのデザインのこだわりも背柱にあり注目して貰いたいポイントです。
現行品と違いを比べてみるのも面白いと思います。

張地は素材や柄にこだわったデンマークの家具用生地専門のdanishartweavingを使用しています。
今回はウール 100%のGrandeのgreenで張替済です。ナチュラルな色彩で落ち着いた雰囲気で仕上がっています。


ウールは身体が発散する水分を吸収し、空気中に放湿させるので、夏の間も湿っぽい感じがありません。 また湿気を与えると、自然に熱を出して温かくなります。保温性、吸湿・発散性、弾力性を作り出しているのがウールの特徴です。冬は暖かく、夏は涼しくこれからの季節にも心地よい居場所作りにピッタリな仕上がりとなっています。長時間座っていても疲れにくく、好きな場所で、好きなことをゆっくりと楽しめる1脚になると思います。

リペア担当スタッフ小林

Borge Mogensen Easy Chair 809D129B

Fredericia model2258
直線的なモーエンセンらしいデザイン。
背もたれの綺麗な曲線は、座り心地も考慮されたデザインとなっています。
こちらのプロダクトは1960年以降「J39」でも有名なボーエモーエンセンが介護施設用家具のシリーズとして
開発されデンマーク全土の病院や老人ホームに届けられました。
1960 年代から、救貧院や養老院の流れを汲むプライエム(日本の特別養護老人ホームに相当)が多数建 設され、1970 年代には、施設数の増加とともに施設の大規模化が図られました。
デンマークの社会福祉政策は、ノーマライゼーションの思想のもとに整備されてきました。
ノーマライゼーションとは、障害者等に対する福祉の名のも とに行われてきた施設政策や様々な措置政策に対する異論として、デンマークのバンク・ミケルセンによって 1960 年代に提唱された理念であり「障害者を排除するのではなく、障害を持っていても健常者と均等に当たり前に生活できるような社会こそがノーマルな社会である」、あるいは「生活に障害のある人に、すべての人が持つ通常の生活を送る権利を可能な限り保障する」などと説明されることが多いそうです。
ノーマライゼーションは、障害者と健常者とが区別されることなく、社会生活を共にすることの権利を社会に対して訴えた動きで、デンマークをはじめとする北欧諸国が、 地方自治を基盤とする在宅中心の福祉政策を強化していく上で、後押ししたことが言われてますが、家具メーカーやデザイナーがこの動き、理念に沿ってデザインをしたことと時代背景を一緒に見るとモーエンセンらしいデザインという言葉にも現物のプロダクトを見るとより考えさせられる部分があります。
 介護施設用としてつくられたモノは相当数台数が必要、またはパーツの交換の必要性など当たり前に耐久性とは別に制作面で多々必要なことが容易に考えられます。
 その為このプロダクトはビスで留め付けてある部分、ダボ組で組んである部分、ほぞ加工で木部についてはおおまかには背枠、座枠、フレーム、といった3パーツに分けることが出来ます。
 またクッションも独立しており紐やレザーなどで動かないようにフレームの金具に引っかけることで取り外しが出来ます。
 強度が必要な部分、製作のしやすさ、交換対応が出来る作り、総合的によく考えており
 直線的なデザインかつ機能持ったシンプルでかつ野暮ったくない点がとてもモーエンセンらしいデザインです。
 
 時代に併せてデザイナーやメーカーが考える意図と工夫
 よく考えられたデザインは背景と一緒に現物をみると形状から伝わるモノはより一層感じられるかと思います。興味がある方は代官山展示しておりますので是非現物をみていていただけると幸いです。
 
 
 モーエンセンのデザインでは
 デンマークでは、早急に高齢者の処遇改善に向けた具体的対応策を講ずるために、1979 年の段階で高齢者政策委員会を設置し、居住機能とケア機能の分離を中心とする新たな 方向性を見出している。この委員会の報告書には、今後の高齢者政策の基盤とすべき「高 齢者三原則」(1982 年)が示され、プライエムや保護住宅の新規建設の禁止を決定する など、デンマークの新たな方向性を見出している。
 高齢者三原則 
○ これまで暮らしてきた生活と断絶せず、継続性をもって暮らす(生活の継続 性に関する原則)
○ 高齢者自身の自己決定を尊重し、周りはこれを支える(自己決定の原則)
○ 今ある能力に着目して自立を支援する(残存能力の活性化に関する原則)
テキスタイルは 当時はリサアールマンのデザインした生地で制作されています。
リペア担当スタッフ 山口
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いかがでしたでしょうか?
実際にリペアしたスタッフに入荷したヴィンテージの魅力を語っていただきました。
グリニッチでは、毎月ヴィンテージ家具が入荷しておりますが代官山スタッフとリペア職人とでミーティングを重ねながら入荷するヴィンテージ家具を検討しています。(張地選定やリペア方法など)
来週の12日(水)は、ヴィンテージ家具が入荷致します。14日(金)以降代官山店舗でご覧いただけます。
ご来店心よりお待ちしております!
グリニッチ代官山 福田

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