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栄養たっぷりの手作りごはんで、健やかな暮らしを。食育サロン「てて」藤本さんへインタビュー

2022年1月より、グリニッチ米子店で新しく開催する食育サロン。
講師をしてくださるのは、食育サロン「てて」の藤本寛美さん。グリニッチのオリジナルソファを愛用いただいているユーザーさまでもあります。
藤本さんに、ご自身の活動を通じて伝えたいこと、想いを伺いました。

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-藤本さんが食育サロン「てて」を始められたのは、どのような経緯ですか?

元々栄養士の資格を持っていて、料理や食には興味がありました。
中でも「食育」に興味を持ったのは、自分自身の子供の経験がきっかけです。

私は三人子供がいるのですが、一人目の子が病気がちで通院続きで。
「薬に頼っているばかりは良くないな、何か自分でできないかな」と学ぶうちに、子供の健康のために食事が大切だ、ということに改めて気付かされました。

それまでは栄養士として、カロリー計算や栄養成分表に基づいて食事を考えることが多かったのですが、「素材」に注目するようになって。
栄養価の高い素材を使って、ごはんを手作りすることで、きちんと必要な栄養を届けられる。
子供の成長を応援しサポートするために「食事」が大切だということを、食育サロンを通して伝えたいと思っています。

-「素材に注目」とは、具体的にどんなことですか?

例えば、コンビニで手軽に手に入る「カット野菜」って、とても便利だけど実は栄養がほとんどないものが多いんです。
長持ちさせるために、野菜をきれいに殺菌する必要があって、その時に栄養も一緒に流れてしまう。
栄養をとっているつもりで、本当は栄養が足りていない「新型栄養失調」が今、問題となっています。

農家さんが作った栄養価の高い素材を使って、ごはんを作る。
レッスンではそうした素材にも注目した料理の提案をしています。

-レッスンに参加される方は、どのような方が多いですか?

「子どものために栄養のある食事を学びたい」という、産休・育休中のお母さんや、お子さんのアレルギーにお悩みのお母さんが多いです。
ただ、中には60代の方もいらして、
ご主人のご病気等をきっかけに、改めてきちんと栄養のある食事を学びたいと、レッスンに参加してくださっています。

料理を一緒にすることで、生徒さん同士のコミュニケーションの場にもなるのも嬉しくて。
料理教室は、「食育」というお子さんのための勉強でありながら、お母さんたちの息抜きの場にもなっていると感じます。

実は、2017年に「食育」をテーマにした料理教室を始めた当初は、「みんな忙しくて、食事を学ぶ時間なんて取れないよ」と、周りから否定されていました。
「食育」という言葉が、堅い勉強のイメージで、一般的な料理教室のような、楽しいイメージでなかったからかもしれません。

ただ近年、社会全体に「手作りごはん」の大切さが広まったり、最近ではコロナ禍で家にいる時間が増えたことで、
食事について学んで、良い習慣づくりをしたいという方が増えてきました。
レッスンに参加する方は生徒さんからのご紹介が多く、1人また1人と、レッスンを通して食育の大切さを広められていることに嬉しさを感じます。

-お子さんのアレルギーのお悩みを抱えている、という方が多いとのことですが、食事で改善できるものですか?

食事だけで解決する、というのは難しいです。ただ、食事が必ずリンクしていて、「食事があるから医療が活きる」というのは確かです。
食事は、全ての土台。食事の改善がなかったら、薬があっても病気が治りづらいんです。

栄養のある食事は、人の手で作られた「手作りごはん」からしか十分に取れなくて。出来合いのお惣菜やチェーン店の外食は、どうしても炭水化物や脂質に偏ってしまいます。
特に子供は、身体を作るために栄養のある食事がより大切な時期。レッスンでは、便利さに頼りすぎる食事にも注意喚起をしています。

-「子供のための食事」で大切なことはどんなことがありますか?

子供は、「飲み込みにくい食べ物」は嫌いになってしまいます。だから、食べやすくする、ということが一番大切。
子供は本能的に、自分に必要なものがわかります。「子供がごはんを食べない」というお悩みは、濃すぎる味付けが原因であることが多いです。
味付けは、塩はあまり使いすぎず、薄味で。
鰹節やごまのような、香りがあるものも子供は好みます。

素材の味がわかる薄めの味付けだと、食べ物の本当の美味しさを知って、味覚が広がって、好き嫌いのない健やかな子供に育ちます。
大人になって、偏りのない栄養のある食事を好んで食べられるようになるためにも、3歳までの食事がとても大事!とお伝えしています。

-レッスンではどんな料理を作りますか?

10~15分でできるような、シンプルな料理がメイン。凝った料理は続かない、という私自身の経験があって、料理教室でしか作れないような難しいものは教えません。
「丁寧」と「パパっと簡単」を組み合わせた、良い加減に手抜きができる料理。「リアルにできる料理教室」を心がけています。

また、味付けもとてもシンプル。
砂糖はおやつで食べるので、使わないようにして、
代わりに煮物はみりん、洋食やイタリアンはトマトなど野菜の旨味だけで甘さを足します。
和食であれば、お出汁だけで味付けをすることも。それだけでも本当に、甘いんです!

「甘さが欲しかったらこの野菜を入れよう」と、調味料に頼るだけではなくて、素材本来の旨味も、味付けに活かすようにしています。

私の料理教室は、お母さんや子供を料理で助けたい、という思いから始まったもの。稼ぐためではなくて、お母さんを「育てる」ことを目的とした料理教室です。
永遠に通い続けるのではなくて、産休・育休中にしっかり学んで、「卒業」してもらいたいと思っています。

だから教える料理はシンプルで、自分でアレンジできるもの。
「栄養のある食事ってこういうもの」という知識を料理教室で知ってもらって、お家に帰って、自分で考えて作ってみる。
私が作った料理と同じなくて全く良くて、私の料理をベースに自分で味を作り出して、家族が「美味しい!」と言ってくれたらそれが正解なんです。

栄養たっぷりで、家族の思い出になる味。
それこそが、手作りごはんの魅力だと考えています。

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私も子どもが2人いて、なかなかご飯を食べないなぁ〜と困っていたので、妻にも今回の企画を話したぐらい興味深いお話しを伺えました。
毎日、精一杯頑張るのではなくて、「手を抜くところは手を抜く」といったお考えが新鮮でした。
それであれば気軽に続けられるし、義務感みたいなものもなく、楽しんで料理ができるかもしれないですよね。
実際に参加される方々の意見や感想、また表情などを伺うのも、今から楽しみです(グリニッチ米子店 店長・古川)

(文:岡田智理)

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