ダイニングに最適な北欧椅子はどれ?失敗しないサイズ・座り心地の考え方
公開日: 2025年12月16日 (更新日: 2025年12月17日)
“毎日いちばん長く座る場所”を、心地よくするために。
食事をする時間だけでなく、家族と語らう時間、ひとりでコーヒーを飲む時間、ちょっとした作業をする時間——
気づけばダイニングチェアには、毎日の暮らしの多くの時間が宿っています。
北欧の人々は、椅子を「暮らしを豊かにするための道具」として考え、
長く使えること、心と体が自然にほどける心地よさを大切にしてきました。
この記事では、
ダイニングに最適な北欧椅子の選び方を、サイズ・座り心地・素材・暮らしの動線から丁寧に解説します。
失敗しないための考え方を知れば、
あなたの家の“中心(LifePlace)”は、きっともっと心地よくなるはずです。
1|そもそも「北欧の椅子」はなぜダイニングに向いているのか?
北欧の椅子は、デザインの美しさだけでなく、生活文化と深く結びついています。
❶ 長く座ることを前提とした設計
寒い季節が長い北欧では、家の中で過ごす時間が長く、
「何時間座っていても疲れにくい椅子」が必須。
背もたれの角度、座面の奥行き、体重を預けたときの支え方まで、細やかに計算されています。
❷ シンプルで“軽やか”なデザイン
家具が空間を圧迫しないように、
線の細いフォルムや自然素材を使い、ほどよい“余白”をつくるデザインが特徴。
ダイニングの動線を邪魔しないことも、北欧椅子が選ばれる理由のひとつです。
❸ 無垢材や自然素材がつくる温かみ
手に触れたとき、自然素材の椅子は体温となじみ、季節に左右されず心地よい。
グリニッチが大切にしている「素材と調和する暮らし」に通じます。
2|ダイニングチェア選びで“失敗しやすいポイント”
北欧椅子を選ぶ際、多くの人が見落としがちなポイントがあります。
❶ テーブルとの高さが合っていない
ダイニングの快適さは、
椅子の座面高 × テーブル天板高
のバランスで決まります。
合わないと…
- 腕が疲れる
- 姿勢が安定しない
- 食事がこぼれやすくなる
など、小さなストレスが積み重なります。
❷ 奥行きが深すぎる/浅すぎる
座面の奥行きは座り心地を左右する最重要ポイント。
深すぎると足が浮き、浅すぎると体重の逃げ場がなく疲れます。
❸ 座り心地を「見た目」で判断してしまう
北欧椅子はどれも美しいため、
見た目で選びたくなりますが、体に合わなければ長く使えません。
あなたの暮らしに寄り添う椅子を選ぶために、次からは具体的な考え方を紹介します。
3|失敗しないための“サイズの考え方”
❶ 理想の高さ|テーブル差尺は「27~30cm」
差尺とは、
テーブル天板の高さ − 椅子の座面高さ(SH)
のこと。
一般的に最も快適なのは
➡ 27~30cm
たとえば、
- テーブル:高さ72cm
-
椅子(SH):43~45cm
が理想的な組み合わせ。
北欧椅子はSHが高すぎないため、日本の住まいにも合わせやすい構造です。
❷ 奥行きは「深いほど良い」は誤解|40~45cmを目安に
奥行きは座ったときの安定感と直結します。
- 浅い(~39cm) → 姿勢が前のめりに
- 深すぎる(46cm~) → 足が浮く・腰が痛い
➡ 40~45cmが最もバランスがいい
グリニッチでも扱う北欧チェアは、このレンジに収まる設計が多く、
長時間座っても体が自然と馴染むのが特徴です。
❸ 肘掛け(アーム)の有無は“暮らし方”で決める
アームチェアが向いている人
- ゆったり過ごす時間が多い
- 椅子をくつろぎの場として使いたい
- 長時間作業する
アームなしが向いている人
- ダイニングを広く見せたい
- 動線をスムーズにしたい
- 来客が多く、人数を柔軟に調整したい
4|“座り心地”はどこで決まる?北欧椅子の設計ポイント
背もたれの角度と支え方
北欧椅子は、背中の曲線に沿って自然に寄りかかれる緩やかなカーブがあります。
心地よさの秘密は、
- 肩甲骨の位置
- 腰の支え
- 背中の逃げ場
これらを計算した角度設定にあります。
座面素材:木・ペーパーコード・布の違い
素材
特徴
北欧らしさ
木座
シャープで軽やか。経年で味が出る
○
ペーパーコード
体圧分散に優れ、長時間疲れにくい
◎(北欧椅子の象徴)
布張り
柔らかくあたたかい、選択肢が多い
○
ペーパーコードは、グリニッチでも人気の座面素材。
“固いようで柔らかい”不思議な心地よさが特徴で、長く座るほど違いがわかります。
5|ダイニングにおすすめの北欧椅子
北欧の椅子はそれぞれに「暮らしをどう豊かにするか」という明確な意図があります。
ここでは、ダイニングでの使い勝手・サイズバランス・座り心地を軸に、グリニッチが自信を持っておすすめする名作椅子をご紹介します。
● J46|FDB Møbler(デンマーク生活協同組合連合会家具部門)
軽やかな佇まいと親しみやすさで、家族が集まるダイニングに心地よい空気をつくる一脚。
特徴
- 軽量で扱いやすく、動線を邪魔しない
- SH45cm前後で日本のテーブルに馴染む
- カジュアルで北欧らしい“毎日の椅子”
● J80|FDB Møbler(デンマーク生活協同組合連合会家具部門)
幅広の座面と包み込むようなアームが特徴。長時間の食事や作業でも疲れにくい北欧の定番。
おすすめポイント
- ペーパーコード座面の柔らかいフィット感
- 程よい奥行きで安定した座り心地
- ダイニングとリビングをつなぐ“くつろぎの椅子”として最適
● J39(ボーエ・モーエンセン)|Fredericia
“人民の椅子”と呼ばれる名作
シンプルで力強いデザインが魅力。無垢材とペーパーコードがつくる温かみは、日常の風景に自然と溶け込みます。
特徴
- 体をしっかり支える安定感
- 座面幅が広く、ゆったり座れる
- 料理を楽しむ時間、家族の会話を深める椅子として理想的
こんな人に
- 食事後もダイニングで過ごすことが多い
- 長く使える“相棒のような椅子”を探している
● PK1(ポール・ケアホルム)|Carl Hansen & Søn
ミニマルで軽やかな名作
ステンレススチールとペーパーコードのコンビネーションが美しい、ケアホルムらしい彫刻的な一脚。
魅力
- 見た目以上の軽量性で取り回しが良い
- 通気性がよく、長時間でも蒸れない
- ミニマルな空間やジャパンディにも映えるデザイン
ダイニングでのメリット
- 軽快で省スペース
- 圧迫感なく、空間に“余白”をつくる
● CH23(ウェグナー初期の名作)|Carl Hansen & Søn
繊細さと安定感のバランスが秀逸
背中を優しく受け止めるカーブと、軽やかなフレームが心地よく、ウェグナーの確かな技術を感じられる一脚。
特徴
- 背もたれの傾斜が自然体の姿勢をつくる
- ペーパーコード座面が体圧を分散
- 視覚的に軽やかで、ダイニングが広く見える
おすすめの暮らし
- 食事も作業もひとつの椅子で完結したい
- スタイリッシュでも温もりある空間をつくりたい
● PP68|PP Møbler
ウェグナーの“機能美”が結晶化した椅子
座り心地を追求した名作。座面サイズが広く、体格を選ばず安定して座れます。
魅力
- 腕を置きやすいアームが、食事中の姿勢を楽にしてくれる
- PP Møblerの精緻な木工技術で耐久性抜群
- デザインと機能の両立が際立つ“長く使える椅子”
こんな人におすすめ
- 家族全員が使いやすい“万能な椅子”を探している
- テーブルで過ごす時間が長い
● CH24(Yチェア)|Carl Hansen & Søn
北欧家具の象徴的存在
包み込むような背もたれと、柔らかなペーパーコード座面。毎日使っても飽きない、北欧椅子の定番。
特徴
- 長時間座っても快適な背中のカーブ
- 空間の印象を明るくする軽やかさ
- どんなスタイルのダイニングにもフィット
6|あなたに合う“北欧の椅子”を見つける3つのステップ
STEP 1|暮らし方を想像する
- どんな時間を過ごしたいか
- 誰とどれくらい使うか
- ダイニングを“くつろぎの場”にしたいか
STEP 2|サイズを合わせる
テーブルとの高さ、椅子の奥行き、アームの有無を総合的にチェック。
STEP 3|実際に座ってみる
座り心地は数字以上に、相性が大切。
北欧の椅子ほど、座った瞬間に違いがわかります。
まとめ|ダイニングに最適な椅子は、“あなたの暮らし”が決める。
北欧椅子を選ぶということは、
美しいデザインを取り入れるだけではなく、
これからの日々を心地よくするための“居場所づくり”でもあります。
サイズが合い、座り心地が良く、素材が暮らしになじむ椅子は、
家族の会話やひとりの静かな時間を豊かにしてくれるもの。
あなたの毎日をやさしく支える、
“長く愛せる一脚”と出会えますように。
