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「ありのまま」で楽しめる、優しい空間づくり。 インテリアスタイリスト・岩佐知布由さん

代官山店では現在、今月のテーマ「Small Gathering」に合わせたスタイリングを展開しております。
スタイリングを担当くださったのは、インテリアスタイリストの岩佐知布由さん。
スタイリストの石井佳苗さんに師事し、2018年に独立。ダイワハウスの賃貸住宅「D-room」、ファッションブランド「studio CLIP」など、暮らしに関わる様々な会社やブランドでインテリアスタイリングを担当されています。

スタイリングの雰囲気と同じような、優しく柔らかい印象の岩佐さん。
今回企画をご一緒させていただくにあたっては、greenicheの大切にしている「Life Place」の考え方にも共感いただき、熱心に質問いただいたり情報収集をしてくださるなど、穏やかな印象の内に秘めた「熱」を垣間お見受けしました。

そこで今回、岩佐さんへインタビューをさせていただき、お仕事のこだわりや大切にされている考え方について伺いました。
これまで担当されたスタイリング事例と合わせてご紹介します。

〈岩佐 知布由さんのこれまでのお仕事は、下記よりご覧いただけます〉

ホームページ
インスタグラムアカウント

キャンプギアブランド「TOKYO CRAFT」/photo_mai tanaka

東京の学校でインテリアデザインを学び、卒業後は会社員として様々な仕事を経験された岩佐さん。インテリアスタイリストになろう、と意思を固めたのは27歳の時でした。

「会社員をしていたときはCADオペレーターの仕事をしたり、アパレルの販売員をしたり、ランドスケープデザインにも興味があったり…20代はいろんなことを経験して、葛藤もありました。ようやく自分の道を決めたのが、27歳の時。インテリアスタイリストになりたい、と自分の道を決めて、石井佳苗さんのもとでアシスタントとして働かせていただきました。」

長くスタイリングを担当されている照明ブランド「APROZ.」/photo_sana kondo

インテリアの仕事を志したきっかけは?と伺うと、お話は幼少期の頃まで遡りました。 

「叔父の一人がインテリアデザイナー、もう一人は大工さんで、『家』『空間』に関わる仕事をする親戚が近くにいたことも、インテリアに興味を持つきっかけだったかなと思います。自分の部屋を模様替えしたり、引き出しの中を整理したり、というのは小さい頃から好きでしたね。

記憶に強く残っているのは、インテリアデザイナーの叔父がホリデーシーズンに送ってくれていた手紙。当時好きだったキャラクターの絵がとても上手に描かれていて、その中に私と姉も一緒にいるイラストで。仕事も忙しかっただろうに、手間暇かけて作ってくれたその手紙がとても嬉しくて、その頃からなんとなくデザインには興味が湧いていたように思います。」

ダイワハウスの賃貸住宅「D-room」スタイリング(Instagram@droom_daiwaliving)/photo_tomoya uehara

石井佳苗さんのアシスタントをしながら、より幅色く知識をつけたいという想いから「インテリアコーディネーター」の資格も取得。約5年のアシスタント経験を経て、独立されました。

「師匠(石井佳苗さん)は本当に幅広いお仕事をされていたので、いろんな経験をさせていただきました。独立をする際に師匠から、『どんな小さな仕事でも、常に120%で挑みなさい』と言われて、それは今でも大切に心がけています。最近の師匠の仕事を拝見しても、『120%』を常に実践されていることが伝わってきて、独立してから5年になりますが、師匠のことは今でも本当に尊敬しています。」

アパレルブランド「KRIFF MAYER」/photo_mai tanaka

現在はインテリアスタイリングを中心に、雑誌、広告、カタログ等のスチールやCMなどのムービー撮影、ショップのディスプレイ、住宅等の空間コーディネートなど幅広く携わられています。 お仕事ではどんなことを心がけていらっしゃるのでしょうか。

「スタイリングのお仕事は、日々積み重ねですね。やればやるほど、自分の基盤となるもの、色がはっきりしてくる感じでしょうか。独立したての頃は、『自分の軸はこれだ』という明確なものがないことを気にして、周りのいろんな人を見て憧れたり、自信を無くしてしまう時期もありました。でも今は、積み重ねることが大切だなと。最初から『これ』という軸みたいなものがなくても、徐々に『私はこういう風にやるのがあっているな』というのが、積み重ねる中で見えてくるようになりました。だから、スタイリングは毎回『120%』で臨んで、積み重ねることを心がけています。」

茨城県・霞ヶ浦のゲストハウス「江口屋」/photo_mai tanaka

謙虚かつ熱心な姿勢で臨まれている、スタイリングのお仕事。中でも印象的だったのは、地元・茨城県でのお仕事だったと振り返ります。

「茨城県の霞ヶ浦市に新しくゲストハウスを作る、というお仕事で、私はインテリアのセレクトを担当しました。ゲストハウスは古民家を改装して作られたもので、建築自体もとても素敵なのですが、特に惹かれたのは『何もないを楽しむ宿にしたい』という依頼者の方の想いでした。茨城県って、全国魅力度ランキングでいつも最下位になってしまうくらい、何もないところ(笑)なんです。でもそれをマイナスに捉えるのではなく、『何もないを楽しむ』とプラスに発想を転換させているんですよね。何もないからこそ、霞ヶ浦の大きな湖や、朝日の美しさに気づくことができる。シンプルに、何もないけど豊かな時間を楽しんでほしい、という考えにとても共感しました。

茨城県・霞ヶ浦のゲストハウス「江口屋」/photo_mai tanaka

インテリアもその想いに合わせて、『おしゃれすぎて気が引ける』ようなものではなく、居心地の良さや、心がホッとする空間にしました。そのとき、自分はこういう空間作りが好きなんだなと気付いたんです。『居心地が良い』『温かい』『優しい』という感覚を本質にする。デザイン性だけでなく、そうした心に触れる感覚を大切にすることが、スタイリングをするときの一つの指針になりました。

あまり無理をしないで、自然に、等身大で。「ありのまま」でいながらも、気持ちが嬉しくなるような素敵な空間。これからもスタイリングのお仕事を丁寧に積み重ねて、『私の理想』を研ぎ澄ませていきたいと思います。」

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岩佐 知布由 

 

1985年  茨城県生まれ。東京デザイナー学院にてインテリアデザインを学び、会社員やアパレル販売等を経て、スタイリスト石井佳苗氏に師事。インテリアコーディネーター資格を取得。2018年に独立。
雑誌、広告、カタログ等のスチールやCMなどのムービー撮影にて、インテリアや雑貨、暮らしに関わること全般のスタイリングやショップのディスプレイ、住宅等の空間コーディネートなど、幅広く活躍中。

 

 

(text:岡田智理) 

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