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『Small Gathering』スタイリングのポイントをご紹介

グリニッチ代官山では2/3(金)〜2/19(日)の期間中、スタイリストの岩佐知布由さんによるスタイリングを展開しております。
テーマは「Small Gathering(スモールギャザリング)」。
〈家族や気のおけない仲間達との集まり〉を意味する言葉で、幸せの国・デンマークの人々が大切にしている日常を表しています。

今回のスタイリングについて、また実際にお家でスタイリングをする際のポイントについて、岩佐さんに教えていただきました。

「Small Gathering」というテーマについて

今回はダイニングとリビングの二つのシーンについて、「Small Gathering」を体感できるようなスタイリングをお願いしました。それぞれどのようなイメージでスタイリングいただきましたか?

(岩佐さん)「『Small Gathering』という言葉を自分なりにじっくり考えた時に、二つのイメージが湧きました。

一つは、楽しくて明るいイメージ。家族みんなが集まって、食事をシェアしながら、ワイワイ楽しく時間を過ごすイメージを、ダイニングのシーンで再現しました。

そしてもう一つは、良い意味の『陰』のイメージです。楽しい時や嬉しい時だけでなく、気持ちが落ち込んでいる時も、『Small Gathering』はぴったりだなと思ったんです。二人とか三人とか、友達とか親とか、自分がなんでも話せる人たちと『小さく』集まって話をするだけで、心が癒される、落ち着くこともありますよね。そんな良い意味の『陰」』のイメージを、リビングのシーンで再現するようにしました。

お店に入ると、最初にダイニングシーンが見えて、奥に進むとリビングシーンが見えるようになります。明るいイメージを体感してもらった後に、落ち着いて籠るような感覚も体感いただき、私が考える『Small Gathering』の二つの顔を味わっていただけると嬉しいです。」

ダイニングシーンのスタイリングポイント

ダイニングのシーンは、ラウンドテーブル「Svendborg(スベンボー)に6脚のチェア合わせ、その近くにはStringで作った食器棚をレイアウトしました。

お父さんとお母さん、お姉ちゃんと弟、そしておじいちゃんとおばあちゃんの親子三世代が集う、リラックスできるダイニング空間です。

(岩佐さん)「季節はまだ寒いので、温かいスープなどをみんなでシェアして、楽しく食卓を囲むイメージでスタイリングしました。食器は季節や、食事の内容に合わせて選ぶことが多いですね。寒い冬の季節は陶器のものを使ったり、温かい食べものを入れるイメージで選びます。一方で暑い夏は、ガラスなど涼やかな印象のもの、冷たい食べものに合うものを選びます。素材や色の違いでも、季節感を出すことができますよ。」

気の置けない人たち同士なので、集まるシーンもあまり頑張りすぎない、気取らない感じを演出いただきました。

(岩佐さん)「盛大なホームパーティではなく、普段よりもちょっと特別、という感じを出したいなと思いました。そのため、『"よそゆき"の綺麗なカトラリーを一式揃える』という豪華な感じではなくて、『普段使っているお皿なんだけれども、小さなナプキンとドライフラワーを置く』といった小さな工夫で、ちょっとした『特別感』を出してみました。真ん中にはクロスを敷き、春が恋しい気持ちを表現するようにミモザの花を飾りました。ミモザのような、生花からそのままドライフラワーになって退色もしづらいお花は、長く楽しめるのでおすすめです。」

家具だけでなく、小物でも「北欧」を感じるポイントが散りばめられています。

(岩佐さん)「真ん中のクロスはブルーで、それも北欧の空をイメージしたスモーキーなブルーを選びました。北欧の習慣を表す小物として、キャンドルも飾っています。食事の時、キャンドルが灯っているだけでムードがぐっと良くなりますよね。お誕生日会や、そうでなくても日常でちょっとお祝いしたい時、ちょっと嬉しいことがあった時、気軽に空間を演出できるのでおすすめです。また火が気になる方は、LEDのキャンドルでも空間の暖かさを演出することができます。本物のキャンドルと同じような炎の揺らぎで、癒しの効果もありますよ。」

ダイニングシーンにはテーブルの近くに、壁付け収納Stringで作った食器棚を合わせたレイアウトにしました。Stringのような「見せる収納」のスタイリングのポイントはありますか?

(岩佐さん)「Stringのシェルフには、ダイニングにあったら便利だな、と思うのをセレクトしました。私は食事の後、お茶を飲んで落ち着きたいな、と思うんですね。なので、お茶やコーヒーをいれるセット、グラスやマグカップを持ってきました。棚の上にものを配置する時は、素材を揃えることを意識しています。『ガラスチーム』『陶器チーム』みたいなイメージで、素材ごとにグルーピングすると、いろんな素材を集めても統一感が出ます。それぞれのグループでは、高低差をつけるように配置するとバランスが取りやすいですよ。」

Stringには食器のほか、本も飾っています。今回用意いただいたのは、岩佐さんが「Small Gatheringだな」と感じた食事の1シーンです。

(岩佐さん)「絵だとハードルが高い方も、本であれば大抵の家にありますよね。自分の好きな1ページ、シーンに合わせた1ページを広げて飾るだけでも、十分絵になります。壁付の棚は、季節を感じるスポットを作りやすいアイテムでもあります。お花や枝もの、公園などで拾った木の実や松ぼっくりも、季節を演出する小物として活躍しますよ。

小物をスタイリングするコツとしては、三角形を作る、高低差をつける、グルーピングする、といった基本はありながらも、大事なのは『楽しむこと』ではないでしょうか。”見せる”ことだけを意識していては、本当に心地良い空間は作れないかなと思います。使うシーンをイメージして、「こうやったら使いやすいだろうな」と想像を膨らませて考えると、見た目も使いやすさも自分にフィットする、落ち着く空間になりますよ。」

リビングシーンのスタイリングポイント

リビングのシーンは、グリニッチオリジナルのLuu Sofaを中心に、ロッキングチェアや飾り棚を合わせたくつろぎの空間です。
リビングで遊ぶ小さい兄弟、それを見守るおばあちゃん、というこちらも親子三世代が集まるイメージをスタイリングで表現いただきました。

(岩佐さん)「リビングのシーンは、『Small Gathering』のイメージをお客さまが想像できるような”装置”を、いろんなところに散りばめてみました。例えばテーブルの上に置いた絵本は、友達どうしでお話をしているページを開いています。その一節を読むことで、ご自身の友達と過ごす時間を想像したり、思い起こしていただけたらなという想いを込めました。ロッキングチェアは、おばあちゃんがゆったりくつろぎながら、孫たちを見守っているようなイメージ。実際にリラックスできるように、座った時の空間も考えてスタイリングしたので、ぜひ座って見てください。

リビングのシーンは、良い意味の『陰』のイメージだったので、心を癒してくれるような香りの仕掛けも用意しました。TVボードの上にある石に香りのスプレーをシュッとかけて、視覚だけではないくつろぎの空間を体感してもらえたらと思います。」

リビングシーンにも壁付けの収納を作り、さまざまな小物で空間を演出いただきました。いろんな色や形を合わせるときのポイントはありますか?

(岩佐さん)「今回は大きなポスターを中心に、その中にある色からフラワーベースや置物の色を選びました。いろんな色を合わせるときは、トーンを意識すると良いですね。グレイッシュなもの、パキッと鮮やかなものなど、彩度をできるだけ揃えるとバランスが取りやすくなります。形については、目線がジグザグする方が見ていて楽しいかなと思うので、三角形を基本に足したり引いたりしています。」

リビングシーンでは、ドライフラワーや植物のスタイリングも印象的です。

(岩佐さん)「ドライフラワーは、ユーカリなどできるだけ色が残るものを飾ると長く楽しめます。あまり知られていないですが、オリーブもドライフラワーにすると、色が綺麗に残っておすすめですよ。ドライフラワーの色に合わせてフラワーベースを選ぶのも楽しいですね。枝ものは空間をピリッと引き締めてくれるので、かっこいい印象にしたい時にもおすすめです。飾る時は照明を近くに持ってきて、光が当たった時の影を意識して配置すると良いです。日中と夜、光がある時とない時でまた違った雰囲気になりますよ。」

壁付けの本棚には、岩佐さんが用意してくださった本が並びます。装丁が素敵なだけでなく、内容も岩佐さんが「面白い」と思って購入されたものばかり。ぜひ手にとって読んでみてください。

最後に全体を通して、スタイリングをする際のアドバイスを教えていただきました。

(岩佐さん)「『なんか、違う』という感覚、小さい違和感を見過ごさないようにすることでしょうか。『なんか、違うな』というのを、見て見ぬふりせずにきちんと向き合ってみる。足したり引いたり、一歩下がって俯瞰してみたり、また戻してみたり、いろいろやってみる。そうしているうちに、『はー、落ち着いた!』というポイントがきっとくると思います。自分が本当に落ち着く感覚になるまで、違和感がなくなるまで、しっかり空間に向き合ってみる。そうすることで、見た目にも感覚的にも心地良い空間が作れると思います。」

 

(text:岡田智理)

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