GE290からCH290へ ハンス J. ウェグナーが描いた“居場所”のためのソファ
公開日: 2026年06月29日 (更新日: 2026年06月29日)
GE290とは何か?北欧のくつろぎを形にした、ウェグナーの名作ソファ
GE290は、ハンス J. ウェグナーが1953年にGETAMA社のためにデザインした、北欧ソファを代表する名作です。
ウェグナーと聞くと、多くの人はCH24、いわゆるYチェアを思い浮かべるかもしれません。
食事の時間を支えるYチェアに対して、GE290は、くつろぎの時間を支える家具です。
厚みのあるクッション。
木の構造をそのまま見せるフレーム。
直線と斜めのラインがつくる、軽やかで力強い佇まい。
その姿は一見とてもシンプルです。
けれど、GE290が長く愛されてきた理由は、単に見た目が美しいからではありません。
このソファには、ウェグナーが追い求めた「人に寄り添う快適さ」が込められています。
座る。
身体を預ける。
家族と会話する。
本を読む。
音楽を聴く。
何もしない時間を過ごす。
GE290は、そうした暮らしの中の何気ない時間を受け止めるために生まれたソファです。
つまりGE290は、ただの名作家具ではありません。
暮らしの中に、自然と人が集まり、長く過ごしたくなる“居場所”をつくる家具なのです。
GE290誕生の背景
ウェグナーが目指した「見せる家具」ではなく「過ごす家具」
GE290が生まれた1950年代のデンマークは、家具デザインが世界的に注目され始めた時代でした。
ハンス J. ウェグナーをはじめ、フィン・ユール、ボーエ・モーエンセン、アルネ・ヤコブセンといったデザイナーたちが、デンマーク家具の黄金期を築いていきます。
その中でもウェグナーは、椅子の巨匠として知られています。
彼が生涯にわたり追求したのは、奇抜な造形ではありませんでした。
人が自然に座れること。
身体が無理なく支えられること。
素材の構造が正直であること。
長く使い続けられること。
GE290にも、その姿勢がはっきり表れています。
当時のソファには、張地で全体を覆い、木部の構造を見せないものも多くありました。
それに対してGE290は、木のフレームを隠しません。
むしろ、木の構造そのものをデザインの中心に据えています。
ここがGE290の大きな特徴です。
ウェグナーは、ソファをただ柔らかい家具として考えたのではありません。
木の安定感と、クッションの柔らかさ。
構造の強さと、身体を受け止める安心感。
その両方があって初めて、本当に心地よいくつろぎが生まれると考えたのです。
GE290は、そうした「過ごすための家具」という思想から生まれたソファです。

デザインの転換点
木質フレームとクッション構造の美しい関係
GE290の魅力は、木部とクッションの関係にあります。
一般的なソファでは、クッションや張地が主役になり、構造は見えにくくなることがあります。一方GE290は、木のフレームとクッションがそれぞれ独立しながら、互いに役割を補い合っています。
フレームは、身体を支えるための骨格です。
クッションは、身体を受け止めるための柔らかな層です。
この2つを分けたことで、GE290には独特の軽やかさが生まれました。
厚みのあるクッションを持ちながら、重たく見えすぎない。
しっかりくつろげるのに、空間を圧迫しすぎない。
木の存在感がありながら、冷たさや硬さを感じさせない。
このバランスが、GE290を特別なソファにしています。
直線的なフレームは、空間に安定感を与えます。
斜めに伸びる脚やアームの構造は、視覚的な抜けをつくります。
背と座のクッションは、身体をやさしく包み込みながら、過度に沈み込ませません。
つまりGE290は、単に「座り心地が良いソファ」ではありません。
構造、素材、座り心地、空間での見え方。
そのすべてが、暮らしの中で自然に機能するように整えられています。
ウェグナーらしい美しさは、装飾ではなく構造から生まれているのです。
GE290からCH290へ
時を超えて受け継がれる、快適性の思想
GE290は長年、GETAMA社によって製造されてきました。
そして現在、その思想はカール・ハンセン&サンによってCH290シリーズとして受け継がれています。
木質フレームの美しさ。
クッションによる快適性。
構造を隠さない正直なデザイン。
長く使い続けられる家具としての考え方。
CH290シリーズには、その思想が息づいています。
現代の木工技術や品質基準のもとでつくられることで、GE290が持っていた本質は、今の暮らしにも届く形へと整えられています。
安心して座れること。
長く過ごせること。
家族や友人と自然に集まれること。
一人でも心地よくいられること。
GE290からCH290へ受け継がれているのは、まさにその“快適性の原点”です。

CH290シリーズの魅力
ソファとして、暮らしの中心に置ける名作
CH290シリーズの魅力は、単にウェグナーの名作を継承していることだけではありません。
現代の暮らしの中で、きちんと使えるソファであることです。
見た目に美しいだけではなく、座る時間が自然に長くなる。
存在感があるのに、空間を重くしすぎない。
木のフレームが見えることで、ソファでありながら家具としての美しさが感じられる。
一般的なソファは、布や革のボリュームで空間を占めることがあります。
そのため、部屋の中で重たい印象になりやすい場合があります。
一方CH290シリーズは、木質フレームが視線の抜けをつくります。
床との間に余白が生まれ、脚やフレームの構造が見えることで、空間に軽やかさが残ります。
それでいて、クッションにはしっかりとした安心感があります。
この「軽やかさ」と「くつろぎ」の両立が、CH290シリーズの大きな魅力です。
ソファでありながら、空間に置いたときの佇まいが美しい。
くつろげるのに、暮らしの景色を重くしない。
このバランスは、ウェグナーならではの感覚です。

どんな人にCH290は向いているのか
長く使える“暮らしの中心”を探している人へ
CH290シリーズは、次のような方に向いています。
流行に左右されないソファを選びたい人。
木の構造が見える家具が好きな人。
家族や友人が自然に集まるリビングをつくりたい人。
長く使える北欧家具を探している人。
張地や素材の経年変化を楽しみたい人。
ソファを単なる休息の家具ではなく、暮らしの中心として考えたい人。
反対に、完全に身体が沈み込むような柔らかさを求める方には、少し違う印象かもしれません。
CH290は、身体をただ包み込むだけのソファではありません。
木の構造が支え、クッションが受け止める。
そのバランスによって、長く過ごせる心地よさをつくっています。
だからこそ、毎日の暮らしに馴染みやすいのです。
まとめ
GE290からCH290へ。
受け継がれているのは、単なるデザインではありません。
人が心地よく過ごすための思想です。
家族が集まること。
友人と語り合うこと。
一人でくつろぐこと。
何もしない時間を持つこと。
そうした暮らしの時間を受け止めるために、このソファはあります。
ウェグナーがGE290で描いたのは、家具そのものの美しさではありません。
その家具によって生まれる豊かな時間です。
だからGE290もCH290も、単なる名作ソファではありません。
それは、人と時間をつなぐ場所であり、暮らしの中心となる居場所です。
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