アートを飾る 暮らしと結ぶ

北欧マインドにある「柔らかな刺激」

インテリアにおける「アート」

「部屋にアートを飾る」ことを具体的にイメージしたことはありますか?
近年のアートに対する注⽬の広がりもあり、すでにお気に⼊りのアートを飾っている⽅もいらっしゃると思います。

壁に掛けられた絵画、ベッドのそばに⽴て掛けた写真、棚に並べた彫刻…アートのある暮らしは、
⼼の安らぎやインスピレーションなど、私たちに“柔らかな刺激”を与えてくれるものです。

⾝近なアートとして⽇本でも⼈気なファブリックパネルは、1950年代に北欧で⽣まれました。
布地を⽊枠に張ったアートは装飾性と断熱効果を兼ね備えた実⽤的なインテリアとして愛され、
今では世界中で暮らしに取り⼊れられています。
⻑い冬をいかに⼼地よい空間で過ごすか、という北欧らしい発想ではありますが、
根底には“暮らしを豊かにする”という誰もが感じる思いがあります。

「⼼を満たす居場所=Life Place」の⼼強いパートナーとして、暮らしの中のアートに⽬を向けてみましょう。

「部屋にアートを飾る」ことを具体的にイメージしたことはありますか?
近年のアートに対する注⽬の広がりもあり、すでにお気に⼊りのアートを飾っている⽅もいらっしゃると思います。

壁に掛けられた絵画、ベッドのそばに⽴て掛けた写真、棚に並べた彫刻…アートのある暮らしは、⼼の安らぎやインスピレーションなど、私たちに“柔らかな刺激”を与えてくれるものです。

⾝近なアートとして⽇本でも⼈気なファブリックパネルは、1950年代に北欧で⽣まれました。布地を⽊枠に張ったアートは装飾性と断熱効果を兼ね備えた実⽤的なインテリアとして愛され、今では世界中で暮らしに取り⼊れられています。
⻑い冬をいかに⼼地よい空間で過ごすか、という北欧らしい発想ではありますが、根底には“暮らしを豊かにする”という誰もが感じる思いがあります。

「⼼を満たす居場所=Life Place」の⼼強いパートナーとして、暮らしの中のアートに⽬を向けてみましょう。

「アート」という存在

昨年、2023年のアートマーケットの総売上は推定650億ドル(発表当時、約9兆6,100億円)で、前年⽐4%減ではありながら、新型コロナウイルスのパンデミック前である2019年を上回っています。売上減少の背景としては⾦利の上昇、インフレ、不安定な世界情勢などが推測されているようですが、全体の取引数は上昇するなど、アートマーケットは引き続き広がりを⾒せています。(出典: The ArtBasel and UBS Global Art Market Report 2024) 
新たな広がりとして注⽬されていることの⼀つは、⽇本を含むアジアのマーケットが急速に盛り上がってきていること。市場シェア2位である中国で開催されているアジア最⼤級のアートフェア「アート・バーゼル⾹港」を筆頭に、⽇本国内最⼤級の「アートフェア東京」では⾼品質なラインナップが増えたり、2023年に横浜で初めて開催された「Tokyo Gendai」では世界⽔準を前提とするなど、アートフェアの幅に広がりが⾒えています。また、中⼩規模のギャラリーがコロナを機に国内マーケットに⽬を向けたことで、これまでアートに触れてこなかった⽅との接触機会が増え、若年層のコレクターが増えたりもしています。
「格式⾼い」と思われがちなアートですが、このような動きの中で街ぐるみでアートを⽤いた⽂化的な活動がより活発化されており、昨年開業した⿇布台ヒルズにもチームラボのミュージアムの他に、アジアを含む世界7都市に拠点を構えるアートギャラリーの⽇本初拠点ができ、今年の夏には渋⾕にもアートに没⼊する新たな施設がオープンしています。秋には、岡⼭で⾦沢21世紀美術館館⻑でもある⻑⾕川祐⼦がディレクターを務める新たな芸術祭が誕⽣するなど、地⽅都市含め全国でアートを楽しむ機会があり、その存在は私たちの暮らしに⽋かせない⼤切なパートナーとなっています。
昨年、2023年のアートマーケットの総売上は推定650億ドル(発表当時、約9兆6,100億円)で、前年⽐4%減ではありながら、新型コロナウイルスのパンデミック前である2019年を上回っています。売上減少の背景としては⾦利の上昇、インフレ、不安定な世界情勢などが推測されているようですが、全体の取引数は上昇するなど、アートマーケットは引き続き広がりを⾒せています。(出典: The ArtBasel and UBS Global Art Market Report 2024) 
新たな広がりとして注⽬されていることの⼀つは、⽇本を含むアジアのマーケットが急速に盛り上がってきていること。市場シェア2位である中国で開催されているアジア最⼤級のアートフェア「アート・バーゼル⾹港」を筆頭に、⽇本国内最⼤級の「アートフェア東京」では⾼品質なラインナップが増えたり、2023年に横浜で初めて開催された「Tokyo Gendai」では世界⽔準を前提とするなど、アートフェアの幅に広がりが⾒えています。また、中⼩規模のギャラリーがコロナを機に国内マーケットに⽬を向けたことで、これまでアートに触れてこなかった⽅との接触機会が増え、若年層のコレクターが増えたりもしています。
「格式⾼い」と思われがちなアートですが、このような動きの中で街ぐるみでアートを⽤いた⽂化的な活動がより活発化されており、昨年開業した⿇布台ヒルズにもチームラボのミュージアムの他に、アジアを含む世界7都市に拠点を構えるアートギャラリーの⽇本初拠点ができ、今年の夏には渋⾕にもアートに没⼊する新たな施設がオープンしています。秋には、岡⼭で⾦沢21世紀美術館館⻑でもある⻑⾕川祐⼦がディレクターを務める新たな芸術祭が誕⽣するなど、地⽅都市含め全国でアートを楽しむ機会があり、その存在は私たちの暮らしに⽋かせない⼤切なパートナーとなっています。

「アート」を飾ってみる

アートが私たちの暮らしと密接であることを再確認できた上で、作品やアーティストに⽬を向けてみましょう。10年ほどアート業界と関わっている筆者が、作家から直接購⼊した「はじめてのアート」をご紹介します。

⽇本とメキシコシティを拠点に活動されているアーティスト・岡⽥杏⾥さんとの出会いは仕事を通してでした。彼⼥はいつも朗らかで周りに集まる⽅々もみんなニコニコ。その朗らかさからは驚くほど、創作の姿勢や作品そのものにはとてつもないエネルギーがあります。

世界各国で活躍されており、拠点とするメキシコシティのお話を伺うと⽬がキラキラされていたのを思い出します。エネルギーの源はその国の伝統や⼈々の⽣活など様々ですが、⽬にするごとにジワリジワリと少しずつ“杏⾥ワールド”に導いてくれるところが魅⼒です。購⼊した作品は⼩ぶりなサイズながら、これまた⼤きなエネルギーがあるので⽞関に飾ってパワーを頂きます。 
『ヒト(Azul)』 / 2019年 
アートが私たちの暮らしと密接であることを再確認できた上で、作品やアーティストに⽬を向けてみましょう。10年ほどアート業界と関わっている筆者が、作家から直接購⼊した「はじめてのアート」をご紹介します。

⽇本とメキシコシティを拠点に活動されているアーティスト・岡⽥杏⾥さんとの出会いは仕事を通してでした。彼⼥はいつも朗らかで周りに集まる⽅々もみんなニコニコ。その朗らかさからは驚くほど、創作の姿勢や作品そのものにはとてつもないエネルギーがあります。

世界各国で活躍されており、拠点とするメキシコシティのお話を伺うと⽬がキラキラされていたのを思い出します。エネルギーの源はその国の伝統や⼈々の⽣活など様々ですが、⽬にするごとにジワリジワリと少しずつ“杏⾥ワールド”に導いてくれるところが魅⼒です。購⼊した作品は⼩ぶりなサイズながら、これまた⼤きなエネルギーがあるので⽞関に飾ってパワーを頂きます。 
『ヒト(Azul)』 / 2019年 
岡⽥杏⾥は1989年埼⽟県⽣まれ。2016年東京藝術⼤学⼤学院美術研究科壁画専攻修了。現在はメキシコシティを拠点に活動。国内外での発表のほか、世界各国での壁画を制作など多⽅⾯で活躍。訪れた⼟地の神話、伝統、⽇常⽣活からインスピレーションを得て、現実と幻想、現代性と⼟着性をテーマに、浮かび上がるイメージを混ぜ合わせたスタイルで、絵画、壁画、セラミック、インスタレーションの分野で制作を⾏う。 
左:展⽰⾵景
右:イベント内での制作⾵景
(2019年@銀座蔦屋書店/筆者撮影)
岡⽥杏⾥は1989年埼⽟県⽣まれ。2016年東京藝術⼤学⼤学院美術研究科壁画専攻修了。現在はメキシコシティを拠点に活動。国内外での発表のほか、世界各国での壁画を制作など多⽅⾯で活躍。訪れた⼟地の神話、伝統、⽇常⽣活からインスピレーションを得て、現実と幻想、現代性と⼟着性をテーマに、浮かび上がるイメージを混ぜ合わせたスタイルで、絵画、壁画、セラミック、インスタレーションの分野で制作を⾏う。 
左:展⽰⾵景
右:イベント内での制作⾵景
(2019年@銀座蔦屋書店/筆者撮影)

お部屋ごとの楽しみ方

北欧マインドにある「柔らかな刺激」

「部屋にアートを飾る」、イメージできましたか?
家具のようなインテリアとこれまで述べてきたアートは⽬的や機能性、市場などの観点から異なるカテゴリーにあります。ですが、最初に少しお話したように「暮らしを豊かにする」という強い意思が北欧⽂化には根強くあるので、⾃分の⼼を潤すアートも⽇常⽣活における⼤切なピースと考えられ、インテリアとの境界線が他国と⽐べても曖昧です。 
“庶⺠のデザイナー”として知られるボーエ・モーエンセンは、美しさと実⽤性の両⽅を追求しながら“⺠主的な家具”を⽬指しました。彼の代表作「J39」は「ThePeopleʼs Chair(みんなの椅⼦)」という愛称で親しまれ、1947年の誕⽣から途切れることなく⽣産され続けています。これは、“近代北欧家具の⽗”と呼ばれる師匠のコーア・クリントから学んだ「リ・デザイン」の精神で、ハンス・J・ウェグナーやアルネ・ヤコブセンなどモーエンセンと同時代のデザイナー達にも影響を与えました。
北欧⽂化の「豊かな暮らし」マインドはなぜ世界中に広がったのか。それは、モーエンセンなど数多の北欧家具デザイナーの仕事からみえる“「⽣活を⾒つめる」=実⽤性/「感性を揺らす」=美しさの融合とバランス”が、いつの時代もどの国でも求められているからではないでしょうか。その本質には「⾃分や⼈と向き合う」⽂化があり、アートの根底にあるものと近いものがあると思います。北欧の「豊かな暮らし」マインドはアートの価値観ともリンクするのです。 
最後にご紹介したいのが、デンマークのインテリアブランド「The Poster Club」。北欧デザインの伝統を受け継ぎつつ、現代的な感性を取り⼊れたアートプリントを提供しています。
北欧を中⼼に、世界中のアーティストやデザイナーとコラボレーションしており、多様なスタイルのアートワークが魅⼒の⼀つです。単にトレンドを追うのではなく、常に新鮮なデザインを提供し続けており、新進アーティストを注⽬される前から起⽤するなど、彼らのアートに対する姿勢は本物です。
楽しみ⽅は⾃由です。暮らしを豊かにするパートナーとしてのアートから「柔らかな刺激」を。
「部屋にアートを飾る」、イメージできましたか?
家具のようなインテリアとこれまで述べてきたアートは⽬的や機能性、市場などの観点から異なるカテゴリーにあります。ですが、最初に少しお話したように「暮らしを豊かにする」という強い意思が北欧⽂化には根強くあるので、⾃分の⼼を潤すアートも⽇常⽣活における⼤切なピースと考えられ、インテリアとの境界線が他国と⽐べても曖昧です。 
北欧⽂化の「豊かな暮らし」マインドはなぜ世界中に広がったのか。それは、モーエンセンなど数多の北欧家具デザイナーの仕事からみえる“「⽣活を⾒つめる」=実⽤性/「感性を揺らす」=美しさの融合とバランス”が、いつの時代もどの国でも求められているからではないでしょうか。その本質には「⾃分や⼈と向き合う」⽂化があり、アートの根底にあるものと近いものがあると思います。北欧の「豊かな暮らし」マインドはアートの価値観ともリンクするのです。 
最後にご紹介したいのが、デンマークのインテリアブランド「The Poster Club」。北欧デザインの伝統を受け継ぎつつ、現代的な感性を取り⼊れたアートプリントを提供しています。
北欧を中⼼に、世界中のアーティストやデザイナーとコラボレーションしており、多様なスタイルのアートワークが魅⼒の⼀つです。単にトレンドを追うのではなく、常に新鮮なデザインを提供し続けており、新進アーティストを注⽬される前から起⽤するなど、彼らのアートに対する姿勢は本物です。
楽しみ⽅は⾃由です。暮らしを豊かにするパートナーとしてのアートから「柔らかな刺激」を。
“庶⺠のデザイナー”として知られるボーエ・モーエンセンは、美しさと実⽤性の両⽅を追求しながら“⺠主的な家具”を⽬指しました。彼の代表作「J39」は「ThePeopleʼs Chair(みんなの椅⼦)」という愛称で親しまれ、1947年の誕⽣から途切れることなく⽣産され続けています。これは、“近代北欧家具の⽗”と呼ばれる師匠のコーア・クリントから学んだ「リ・デザイン」の精神で、ハンス・J・ウェグナーやアルネ・ヤコブセンなどモーエンセンと同時代のデザイナー達にも影響を与えました。

おすすめアートポスターをご紹介します

The Line no. 09

 / Rebecca Hein 

デンマークの海の近くで育ったレベッカは幼いころから野⽣の⾃然を愛しており、インスピレーションの⼤半は海岸線の曲線や⽯や海の波の質感から得ています。不完全さの中にある美しさを探求しており、⽇本のわびさびの美学にも影響を受けています。

Cat in Blue

 / Enikő Katalin Eged

ハンガリー出⾝のエニコは、⽂学と哲学を経て芸術の世界に⼊っており、無数のソースからインスピレーションを得ています。動物、感情、視覚的な物語などが作品のテーマとして繰り返し登場し、創作プロセスの核には「共通の記憶をよみがえらせるという概念」があります。

Blue Flowers & Red Wine

 / Anouk van Cleef

オランダを拠点とするアヌークは、⾊の組み合わせによって⼼地よくもなり、活⼒が得られるときもあると⾊彩にこだわります。「⼈⽣における⼩さなことこそが⼈⽣であり、美しさはどこにでもある」と語り、⽇常⽣活を受け⼊れることを作品のテーマにしています。

The Line no. 09

 / Rebecca Hein 

デンマークの海の近くで育ったレベッカは幼いころから野⽣の⾃然を愛しており、インスピレーションの⼤半は海岸線の曲線や⽯や海の波の質感から得ています。不完全さの中にある美しさを探求しており、⽇本のわびさびの美学にも影響を受けています。

Cat in Blue

 / Enikő Katalin Eged

ハンガリー出⾝のエニコは、⽂学と哲学を経て芸術の世界に⼊っており、無数のソースからインスピレーションを得ています。動物、感情、視覚的な物語などが作品のテーマとして繰り返し登場し、創作プロセスの核には「共通の記憶をよみがえらせるという概念」があります。

Blue Flowers & Red Wine

 / Anouk van Cleef  

オランダを拠点とするアヌークは、⾊の組み合わせによって⼼地よくもなり、活⼒が得られるときもあると⾊彩にこだわります。「⼈⽣における⼩さなことこそが⼈⽣であり、美しさはどこにでもある」と語り、⽇常⽣活を受け⼊れることを作品のテーマにしています。
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